「この初任給では働けない」と入社前に交渉… 度肝を抜く新入社員が現れる理由 「内定承諾後辞退」も急増

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【全2回(前編/後編)の後編】

 入社式といえば、桜の季節の風物詩。しかし、近年は桜が散るよりも早く去って行く新入社員の方が、風物詩になりつつあるのかもしれない。一体どうしてこんなことになってしまうのか。人事・総務担当者ならずとも知っておきたい、驚愕(きょうがく)の最新事情に迫る。

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 前編では、退職代行のプロに聞いた、今年の新入社員の特徴について紹介した。

 入社早々辞めていくケースばかりではない。企業としては、そもそも入社前からまったく気を抜けない事態が頻発しているのだ。

 さる就活エージェントが語る。

「近年急増しているのは、“内定承諾後辞退”です。昔であれば、承諾書に誓約のサインをすれば就活は終わりでした。しかし、いまの学生は内定を承諾してその会社をキープしつつ、平然と他社の選考を受け続けています。内定式は10月に行われることが多いのですが、その案内の連絡をしたときに、学生が内定辞退を告げるケースが一般的。もちろん、内定式で社長や同期と顔を合わせた後に辞めるケースもあります」

 さらに今年は、内定後に度肝を抜くような行動に出た学生がいた。

「IT企業のビジネス職で採用された院生の話です。彼は内定が決まってから“この初任給では自分のライフプランに合わない”と、初任給を上げるべく会社と交渉をした上、成功させてしまった。聞いたことがないケースで、社内では話題になりました。実際、初任給も学生が重要視する点で、IT系のベンチャー企業では初任給が40万~50万円といった例も珍しくありません」(同)

圧倒的な売り手市場

 入社前に賃上げ交渉をするつわものが登場するのには、それなりの事情がある。

「今年の就活市場全体の傾向として、まずいえるのは“圧倒的な売り手市場”だということです」

 そう語るのは、人事労務などの調査を行うシンクタンク「産労総合研究所」の担当者である。

「昨年に続き、今年の就職内定率は92%と、過去3番目の高水準。少子化に伴う人材不足ゆえ、完全に“学生優位”の状況が続いています。企業の採用プロセスでは、生成AIの普及による変化が著しい。エントリーシートの作成にAIを活用する学生が急増しており、人事担当者も“無難な文章が増えている”と漏らしていました」(同)

AIの台頭に対する漠然とした不安

 そんな就活生が企業に求める条件は、

「主に“給料が高いか”“福利厚生が充実しているか”、そして“自分が成長できるか”の3点です。もとより終身雇用を前提にしていないので、早くスキルを身に付けて一人前になり、キャリアアップしていきたいと考えている。背景には、AIの台頭に対する漠然とした不安があります。確固たるスキルがないと、いずれAIに取って代わられるのではないかと恐れているのです」(前出の担当者)

 最近の就活市場で繰り広げられる現象について理解を深めるには、若者の生態を探るほかない。

「卒論に関しては、“タイパが悪い”と言われることが多いですね」

 そう苦笑するのは、金沢大学教授の金間大介氏。タイパとはタイムパフォーマンス、すなわち時間対効果のことである。

「いまの学生には、じっくり読まなくてはいけない長文よりも、短く整理された情報や、即答できる結論が好まれます。動画も短尺化し、ドラマでさえ先に結末を知るようなスタイルが広がっている。就活に関して効率よく“答え”を得るためには、“論破王”として名をはせるひろゆき氏に質問をするのが合理的だと思われているのです」(同)

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