「万年筆のペン先」に「ふすまの取っ手」 “金の延べ棒”に生まれ変わるかもしれない「意外な品物」
刻印とナンバー
山手線の西日暮里駅から歩くこと5分。ある貴金属店の前に朝から行列ができている。看板には「井島貴金属精錬」とある。ここに「金」を含んだアクセサリーなどを持ち込むと、含有量を調べた上で純金の地金(99.99%)に精錬してくれるのだ。扱っているのは金のほかに銀、プラチナ、パラジウム。個人客相手に精錬と分析サービスを行っているのは、日本でもここだけである。
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数年前から同社を利用している貴金属系ユーチューバーの「やさぐれメタル」氏によると、
「金製品を溶かしてインゴット(地金)にしてくれる業者さんは他にもありますが、井島貴金属精錬に依頼すると地金に刻印と通し番号を入れてくれるのです。これが重要でして、同社の刻印とナンバーがあると、ほぼ地金の相場価格で売却することができます」
意外な品物
同社が日本金地金流通協会の正会員であることから、刻印とナンバーが信用されるわけだが、知られているように金はここ数年値上がりを続けている。それもあってなのか、意外な品物も持ち込まれる。
井島貴金属精錬に聞いてみた。
「22金や18金のネックレスや指輪は“金製品”なので分かりやすいのですが、ふすまの取っ手、キセルの吸い口、万年筆のペン先といったものにも金が使われていることがあります。こうした品物も依頼があれば手数料を頂いて成分を調べ、精錬しています」(担当者)
ただし、金メッキ製品は受け付けていない。金のメッキは非常に薄く、どれだけ大きな物を持ち込んでも、抽出できる量がほとんどないからだ。同社によると、貴金属の精錬分析サービスは戦前から行っているという。
「以前は他社でも個人向けのサービスがありましたが“BtoC”は、お客さんからのクレームが多いのです。例えば金製品だと思い込んで持ち込んだら金じゃなかったというケース。いうなれば、お客さんは偽モノをつかまされていたわけですが“金色に光っているのだから、そんなはずはない”とトラブルになってしまう。面倒なので個人相手の業者が減っていき、いつのまにかウチだけになったのです」(同)
同社では午前中に整理券を発行し、決まった数を配ると当日の受付はおしまい。昨今の金価格の高騰もあってか、すぐに整理券はなくなってしまうという。
「最近は銀も高いので銀製品を持ち込む方が増えています。目立つのは内閣府からもらった銀杯を持ってこられるお客さんですね」(同)
実家のタンスには一見“ガラクタ”のような品物が眠っていることがある。ひょっとして金銀のインゴットに化けるかも。




