「クソ海峡を開けろ」「文明が滅ぶ」暴言止まぬトランプ氏、下がらぬ原油価格…世界と自国民が“米国に見切りをつける日”

国際

  • ブックマーク

度重なる暴言

 国民の不満をよそに、トランプ氏の傍若無人ぶりは一向に変わらない。近頃は暴言に国内外からの批判が相次いでいる。

 トランプ氏は5日、自身のSNSで「このクソ海峡を開けろ、狂った野郎ども。さもなくば地獄で暮らすことになるぞ!」と投稿した。

 この投稿を問題視した野党・民主党から、トランプ氏は精神健康状態の検査を受けるべきだとの批判が相次いだ。現在79歳のトランプ氏を巡り、これまで体の健康状態を疑問視する声が何度も上がっていたが、精神まで危ういとの懸念が広がってしまった。

 暴言はまだ続く。

 トランプ氏は7日、米国が定めた期限までにイランが要求に応じなければ、「今夜、1つの文明が滅び、それは二度と再興しない」と脅迫した。

 この発言に堪忍袋の緒が切れた民主党は、米国憲法修正第25条第4節を発動して大統領解任を求める声が一気に強まった。

「強制解任メカニズム」と呼ばれるこの規定では、副大統領と閣僚の過半数、または議会が設置した「その他の機関」の過半数が、大統領の職務遂行不能を宣言すれば、副大統領が職務を引き継ぐことを認めている。ただ、成立までのハードルは高く、これまで発動された前例はない。

ASEAN半分以上が「中国を選ぶ」

 トランプ氏は自身への忠誠心の高い人物で閣僚を固めているため、現時点で修正第25条による解任の可能性はほとんどないだろう。だが、米国民は政治の混乱にさらに嫌気が差すのは間違いない。

「文明消滅発言」は欧州でも波紋を呼んでいる。英国のスターマー首相は9日、トランプ氏の発言は英国の価値観に反すると主張した。

 ドイツのメルツ首相は、文明を破壊することがトランプ氏の本意ではないと擁護しつつも、和平プロセス全体を頓挫させる可能性があるとして懸念を示した。

 東南アジアでも米国の評判は低下している。

 シンガポールのISEASユソフ・イシャク研究所が7日に公表した調査で、東南アジア諸国連合(ASEAN)が米国と中国の選択を迫られた場合に「中国を選ぶ」と回答した割合が2年ぶりに半数を超えた。この調査は中東戦争の開始以前に実施されたものだ。現時点で調査すればその傾向がさらに強まっていることだろう。

 12日には、自身がイエス・キリストのように見えるAI画像をSNSに投稿し、物議を醸している(現在は削除)。自業自得とは言え、米国は国際的な孤立状態に陥りつつある感がある。悩める超大国の今後の動向について、引き続き高い関心をもって注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。