菅田将暉&有村架純、橋本愛&中川大志、染谷将太…ほろ苦さと情熱をもう一度味わえる「新社会人の映画」5選

エンタメ 映画

  • ブックマーク

航空業界の人々

〇「ハッピーフライト」(2008年)

 かつて、客室乗務員がスチュワーデスと呼ばれていた時代、「アテンションプリーズ」(1970-71年)や「スチュワーデス物語」(1983-84年)などのドラマが大人気だった。あれから数十年、今の航空業界の人々を描く。

 ホノルル行きのNH1980便。副操縦士の鈴木和博(田辺誠一)は、機長昇格試験を前に緊張する。斉藤悦子(綾瀬はるか)は、遅刻をするのんびりした新人客室乗務員。チーフ・パーサーの山崎麗子(寺島しのぶ)は厳しいことで有名で、失敗した悦子は「あなたはこの仕事が華やかなものだと思って入社してきたの!」と叱られる。

 グランドスタッフや整備士や管制官などにもスポットを当てているのが面白い。その中で「バードコントロール」という職種には驚いた。野鳥が飛行機と接触する「バードストライク」を防ぐために、空砲を撃つのが仕事だという。

 機内での個性的な客への対応や、バックヤードの様子は見どころ満載だ。客室乗務員が「健康足踏み機」に乗りながら慌ただしく食事をするシーンには思わず笑ってしまう。はたしてこれは実話だろうか。また配膳時に肉の機内食が少なくなってしまったので、乗客を巧みに魚に誘導する口上が面白い。今度搭乗したら確かめてみたいものだ。

 1990年代前半まで、女の子の憧れの職業は客室乗務員が常に上位だった。しかし、現在はランク外だという。女性の職種の増加や働き方の意識が変化したからだろう。それでも、乗客を安全で快適な旅へ誘う彼女たちの働く姿は、とても魅力的だ。

“若大将”も新入社員だった

〇「フレッシュマン若大将」(1969年)

 加山雄三主演の「若大将シリーズ」は第1弾から大学が舞台だったが、第13弾の本作から社会人シリーズとなった。若大将・田沼雄一は「日東自動車」の新入社員だ。

 社長は入社式で「自動車業界は日本の花形である」ことを話す。この時期日本は高度経済成長期で、自動車業界は海外輸出にも力を注いでいた。若大将の通う社屋は、当時、東銀座にあった日産自動車が使用されている。

 そんな頃の「フレッシュマン」が描かれる。工場研修の合宿、独身寮への入居、初月給(封筒入りの手渡し!)で祖母にプレゼント、配属先は「サービス課」だ。そこには上司の藤岡琢也、先輩社員に岡田可愛がいる。オールドファンにはたまらない配役だ。

 そしてマドンナ役は、この作品から“澄ちゃん”の星由里子から“節ちゃん”の酒井和歌子に変わる。節子は羽田空港のレンタカー受付に勤めるOLだ。ピンキーとキラーズの「恋の季節」が街中に流れる中、若大将は会社のために奔走し恋を成就させる。

 ミニスカート姿がとても似合う酒井は、1964年に東宝に入社し「めぐりあい」(1968年)で初主演を務める。その清楚さと親しみやすさが大人気で、内藤洋子と共に東宝の「青春スター」だった。最近、子役時代からの友人・柏木由紀子とのSNSが、今年77歳とは思えない若さだと話題になっている。

 若大将が演じる新入社員は、明るく未来への希望に溢れているようだ。この後、日本経済は石油ショック、バブル崩壊を経て、長い低迷期に入る。今年の新入社員も、若大将のような笑顔であることを願いたい。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。