「地獄が降りかかる」…イランを容赦なく脅す“トランプ大統領”を生んだアメリカの闇…「有事になると熱狂した大衆がひとつの論調にまとまる」「自由の国とは考えないほうがいい」

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一色に染まる論調

 これも当時のアメリカ国民の怒りに火を点け、彼の試合では会場全体が「U.S.A.!」コールに包まれたのである。最終的にはアメリカの愛国者代表たるハルク・ホーガンが、レッスルマニアVIIで対決することとなり、サージェント・スローターが敗北して自らの非を認めるというシナリオに。当然ながら米国民は熱狂した。

 また、2001年に起きた米同時多発テロの時、私はフリーライターになりたてで、アメリカ在住の一般人や、大学で社会学を教えている学者などに電話取材をした。すると、皆一様に「こんな悲しく、酷いことがこの国で起こるなんて……。亡くなった方にSorryと言いたいし、犯人を生み出したアルカイダには無慈悲な鉄槌を食らわすべきです」といった感じのコメントだった。私もこの時は「I feel sorry, too」と同調したのだが、その後の泥沼のアフガニスタン紛争や、大量破壊兵器が結局見つからなかったイラク戦争などを振り返ると、アメリカ国民の熱狂は政府に利用されたのでは、という見方をするようになった。

アメリカは自由な国か?

 というのも、先述した通り私はアメリカ在住経験があり、高校時代をアメリカで過ごしたため、アメリカ史と世界史の授業を現地で受けた。アメリカの高校では、ネイティブアメリカンの土地を奪ったことなどについては、「彼らに文明を与えた」となるし、広島・長崎への原爆投下にしても「これにより第二次世界大戦が早く終わり、日本国民の命を守った」ということになっていたのである。ベトナム戦争で巻き起こったウッドストックを含む反戦ムーブメントは一応紹介があったものの、「世界を悪魔的共産主義から守った」ということを白人の歴史教師は主張し、それに対して生徒も納得していた。

 よくアメリカは自由の国、と言われるが、なかなかどうして、事が起きると一つの方向に向かってしまう国である。そしてその方向は、時の政権に強力にコントロールされているように思う。愛国主義者的な主張は共和党政権の時に巻き起こるし、ポリコレムーブメントが盛り上がるのは民主党政権の時。私自身もアメリカの高校で、太平洋戦争における日本=極悪国家、つまり日本人は極悪人、という扱いを散々教師からも生徒からも受けた。

 アメリカを、己の意見を主張できる自由な国だと扱わない方がいいと感じている。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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