わが子のために妻は仕事を辞めたのに、教育費が払えなくなった――世帯年収1400万円の30代夫婦が陥った「借金1200万円」の皮肉【FPが助言】
「子どものために」と信じて疑わなかった選択が、わが子の未来を奪いかけていた――。地方在住の30代夫婦、誠さんと美咲さん(いずれも仮名)は、かつて世帯年収1,400万円を誇る共働きカップルだった。第二子の妊娠を機に美咲さんが退職し、子どもの教育に専念する道を選んだ。それから5年。2人には、カードローンの借入総額1,200万円という現実が待っていた。
「うちは収入が高いから」「教育費は惜しまない主義だから」――そう思っている人ほど、この夫婦の話は他人事ではないかもしれない。今回、アドバイスをするのは「お金の管理が苦手な人」へのアドバイスを得意とするファイナンシャル・プランナーの岩切健一郎さんだ。
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「俺が1,000万円稼いでいるから大丈夫」という錯覚
「子どもの教育に専念したいから、仕事を辞めたい」
6年前、妻・美咲さんから相談されたとき、夫の誠さんはあっさり同意した。「自分は上場企業の中間管理職で年収1,000万円を稼いでいるし、妻の実家に住んでいて住宅費もかからない。年収400万円の妻が辞めても生活は揺るがない」という自信があったのだ。
しかし、現実は違った。共働き時代は「トントン」で回っていた収支は、妻の退職と同時に一気に悪化し、毎月数十万円もの赤字に。
なぜこんなことになってしまったのか。実は、妻が仕事を辞める目的とした「教育」の内容が問題だった。
美咲さんは、地元の習い事教室だけでは満足できなかった。能力開発、英語、音楽――東京の有名教室に、わざわざ静岡から通い続けたのだ。子ども2人分の教育費は、年間300万円にのぼっていた。
その教室に集まるのは、都心在住の「真のセレブ層」だ。ママ友に合わせて高級レストランでの5,000円ランチ、旅行、ブランド品の購入が続いた。「子どもに肩身の狭い思いをさせないよう、周りに合わせなければ」と、見栄のための出費が教育費に重なり、家計を静かに蝕んでいったのだ。
「教育のために退職した」はずが、退職後も教育費と見栄消費をやめられなかった。それが家計崩壊の最大の原因だった。
気づけば借金1,200万円に。FPが突き付けた厳しい現実
5年間、カードローンで赤字を補填し続けた結果、借入総額は1,200万円に膨らんだ。今や金利だけで年間約200万円を支払い、金利返済のためにまた借り入れをするという典型的な自転車操業に。多重債務の一歩手前まで追い詰められた夫婦は、ファイナンシャル・プランナーの岩切さんのもとを訪ねたのだ。
「このままでは子どもの教育費が〝詰み〟になります」
岩切さんは厳しい現実を突きつけた。
「このまま借金を抱え続ければ、中学受験は夢のまた夢です。中学が公立でも、子どもが高校や大学に進学する際、高年収ゆえに奨学金が借りられず、かといって借入枠がいっぱいで教育ローンも組めなくなりますよ」
教育のために仕事を辞めたのに、借金を重ねた結果、最も教育費が必要な時期に子どもの進学を諦めざるを得なくなる――。あまりに皮肉な未来予想図を突きつけられ、夫婦は凍りついた。
「なんでこんなに無駄遣いしてたんだ」
「子どもにいい教育を受けさせようとがんばってただけなのに、どこが悪いわけ。ずっと無関心だったくせに今になって口を出さないで」
離婚も辞さないという険悪な雰囲気に陥った夫婦に、岩切さんは二つの解決策を提示した。
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