イェール大→三井物産→落語家 異色の経歴「立川志の春」の新たな挑戦

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「すべて委ねることに」

 幕末から明治期にかけて活躍し、“近代落語の祖”と呼ばれる三遊亭圓朝が遺した古典落語の名作「死神」が舞台化される(4月11~26日、東京・新宿、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA)。

 作と演出は“気鋭の劇作家”と高い評価を受けている倉持裕(53)で、俳優・牧島輝(ひかる・30)が主演、死神を女優の水野美紀(51)が演じる。目を引くのは、大店の主人と大家の二役で出演する落語家の立川志の春(49)の存在だ。目下、稽古に励んでいる志の春に話を聞いた。

「最初は脚本だけの協力という話もあったんです。でも、僕の中に落語『死神』のイメージがしっかりあるので、それを倉持さんに押し付ける形になるのは避けたかった。そこで、すべて委ねることにしたのです」

 圓朝がグリム童話や欧州の寓話を翻案し、独自の噺(はなし)に仕上げた作品とされる。

「僕も高座でやる噺ですが、過去の演者たちの手で作品自体がそぎにそがれて究極の形が出来上がっている。落ちの部分であるサゲも、演者によって十人十色というほど異なります。それを演劇としてどう立ち上げていくのか。稽古でもどんどん変わっていくし、僕も本番を楽しみにしています」

フラを持つ死神

 借金に苦しむ男が死神に出会い、死期が迫った人を見分ける方法を伝授される。ほどなく男は医者となって成功するが、禁を犯して死神を裏切ったことで……。

「落語に登場する死神はボロを着た、みすぼらしい姿のイメージですが、水野さんは不気味ななりをしているのに、とてもチャーミング。僕が演じる大店の主人が病に臥せっている場面では、すぐ横で僕の体をあおぐかのように手を激しく動かしたりする。“何をしているんですか”と尋ねると“精気を吸い尽くそうとしてるのよ”って。落語で言うところのフラ(天性の愛嬌〈あいきょう〉や独特のおかしみ)を持つ死神になると思います」

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