なぜ今の視聴者は「怒るMC」を避けるのか? 「羽鳥慎一」と「石井亮次」に共通する“聞く力”
新情報番組のMC
「ミヤネ屋」の後を受けて10月から始まる新情報番組のMCには日テレ系列のアナウンサーが就く。読テレは在阪民放の中でも有力局で人材豊富だから同局から選ばれる公算が大きい。そもそも同局の番組なのだ。
「ミヤネ屋」はスタッフも同局の精鋭が集められていることで知られる。斬新な新情報番組をつくり、「ゴゴスマ」とより激しい争いを繰り広げることだろう。
両番組に大きく水をあけられているのがフジテレビ系「旬感LIVE とれたてっ!」(同午後1時50分、制作は大阪・関西テレビ)。2月25日から関東での放送枠が拡大され、午後2時台にも流れるようになったが、個人視聴率は0.7%前後(世帯1.3%前後)。苦戦している。
新規参入でまだ馴染みが薄いとはいえ、かなり厳しい数字だ。一部のコーナーがやや荒削りに映ることなどが理由か。地元・関西でも3位である。
まだ関東での放送はなかったが、昨年2月に「週刊文春」の廃刊を番組内で求めたこともマイナスだった気がしてならない。同誌がフジの人権侵害問題を告発するキャンペーンを行ったのは知られている通りである。
関テレは単にフジの系列局ではないからだ。フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が20%以上の株式を所有する持分法適用関連会社である。
もちろん「とれたてっ!」にはフジの代わりに文春を糾弾するつもりはなかったろう。だが、他局に文春の廃刊を求めた番組はなかったこともあり、代理戦争にも見えた。情報番組が私情で動くと誤解されたら損だ。
帯番組の定着には最低でも半年から1年はかかる。「とれたてっ!」が正念場を迎えるのは最短でも読テレの新情報番組が始まる10月以降。しかしフジは早く浮上してほしいだろう。
フジの苦境
フジの視聴率不振が深刻さを増すばかりだからである。3月第3週(同16~22日)のゴールデン帯(午後7~同10時)の週間個人視聴率はテレビ東京に敗れた。フジが2.9%でテレ東が3.2%だった。
世帯視聴率はもう使われていないから、いくら負けようが痛くも痒くもない。だが、基準値である個人視聴率となると深刻である。テレ東とは会社規模が全く違うのだから。
いまだに「もう視聴率は関係ない時代」などと根も葉もないデマを流す人がいるが、民放の業績は個人視聴率で決まる。TVerの収入はCM売上高の10~30分の1程度に過ぎない。ほかの収入もCM売上高とは比較にならない。
2023年度のCM売上高を見てみたい。フジが人権侵害問題の影響を受ける前だ。個人視聴率はテレ朝がプライム帯(午後7~同11時)と全日帯(午前6~深夜0時)でトップ。日テレがゴールデン帯でトップだった。以下、3位はTBS、4位はフジ、5位はテレ東である。
CM売上高は日テレが約2193億円、テレ朝が約1666億円、TBSが約1594億円、フジは約1473億円、テレ東が約695億円だった。
日テレの数字が突出しているのは40代以下の個人視聴率(コア)が高いから。あとは個人視聴率の順番通り。成績と売上高が連動するのはどんなビジネスでも同じなのだ。「視聴率は悪いが業績はいい」といった摩訶不思議なことは起こらない。
帯番組が好調な局は全体の視聴率も高くなる。その帯番組が各視聴者のホームポジション的な存在となるからだ。「ゴゴスマ」が同時間帯で1位のTBSは全体の視聴率は3位にとどまっているものの、上位グループの日テレ、テレビ朝日を追い上げている。
日テレは帯ニュース番組「news every.」(平日午後3時50分)が同1位。テレ朝は「羽鳥慎一モーニングショー」(同午前8時)、「大下容子ワイド!スクランブル」(同午前10時40分)がともに同1位。強いわけである。
フジには1位の帯番組がない。全体の視聴率は4位だが、3位のTBSとの差が開いている。やはり「とれたてっ!」の浮上に期待したくなるのである。
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