春のセンバツ「DH制」導入でどう変わる? 「“第二の大谷翔平”が出てこない」懸念も
緊張感の高い展開
熱戦が展開中の高校野球センバツ大会。昨年までと異なるのはDH(指名打者)制が導入されたことだ。東京六大学野球も4月11日開幕の春季リーグから、9人野球最後の砦となっていたプロ野球のセ・リーグも来年のシーズンからDH制に移行し、日本野球が大きく様変わりする。
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セのDH制導入に賛成するのは、現役時代はパで活躍し、セではコーチ経験のあるプロ野球OB。
「セで打撃コーチを務めていた頃、相手の攻撃が7番から始まるイニングは気を抜いていた。多くは9番に投手が入り、点を取られる可能性が非常に低いから。DH制導入で打線に切れ目がなくなり、より緊張感の高い展開が増えると思う」
セでは、一昨年まで阪神監督を務めた岡田彰布氏が「DH制では采配の妙味、醍醐味がなくなる」と主張するなど、導入の機運は盛り上がらなかった。投手に打順が回るタイミングを勘案しながら、いつ投手に代打を出し、いつ継投するかといった駆け引きに面白さがあるというわけだが、前出のOBは一刀両断する。
「セ在籍が長い人ほどそう言うが、野球は将棋やチェスとは違う。投げ、打つことに集中すればいい。WBCも五輪もDH制。セだけが“ガラパゴス化”することに百害あって一利なし」
計り知れないメリット
セに先駆け、導入したのが高校野球だが、ここまでの大会序盤では、DHとなった打者に目立った活躍はなく、対戦する両校ともDHを使わない試合も。
「3月22日の大垣日大―近江戦は、大垣日大のエース、竹岡大貴投手が延長10回、188球を投げ抜きましたが、同校はDH不在で竹岡投手が4番打者。投手専念なら負担が減ったかもしれませんが、まだまだDHが浸透するには時間もかかりそうです」(スポーツ紙のアマチュア野球担当記者)
とはいえ、
「高校野球の監督からはDHに反対する声はほぼ聞こえてきません。夏の大会に熱中症対策の給水タイムが導入されている昨今、投手の打撃時の死球や走塁中のけがなどのリスクを減らせるメリットは計り知れない」(同)
投手が打撃、バント、走塁の練習に割いていた時間を投手練習に当てることによって、レベルアップが望めるという見方もある。
ただし、懸念されるのは、大谷翔平(ドジャース)のような二刀流の可能性を秘めた選手の芽を摘むことにならないか、との点だろう。
「大谷の恩師である花巻東・佐々木洋監督は昨冬から、選手個々の適性を見極めつつ、投手に専念する子と投打両方やる子を分けて練習させているそうです」(同)
WBC準々決勝で野球日本代表「侍ジャパン」が敗れた今、DH制導入の流れが日本野球の一層のレベルアップにつながるか。



