「穂川果音さん」が抱いた「美人すぎる気象予報士」という形容詞への違和感…気象予報士のイメージを刷新した「理想の人物」とは

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理想は石原良純

 では、ご本人は今後、どんな“肩書”で紹介されたいのだろうか。

「私は誰かの役に立つ人でありたいと思っています。美しいことは自己満足に繋がるので、否定はしません。だからこそ、美しくいるための情報を、気象に関連して発信するのは使命の一つになるかもしれませんね。紫外線が強い時、雨の日、乾燥した日――。天気と美容は密接につながっているので、インスタも含めて“美と天気”といった情報を発信すれば、美容系のコラボも生まれてくるかもしれません」

 ただ、気象予報士という職業は若干ステレオタイプな面もあった。いわゆる「お天気お姉さん」とは異なる、ニュース番組に登場する気象予報士は、かつては男性が多く、そして男性であることを信頼感に繋げていたように思われる。穂川さんもかつて「お前みたいな若い女の話は説得力ないから、肩書は気象予報士ではなく“お天気お姉さん”の方がいいのでは」と言われたことがあったという。この時は「かわいい気象予報士が、天気を解説するのはダメなの……?」とショックを受けたそうだ。

 所詮、ルックスの良い女性は渡された原稿を読む「お天気お姉さん」であるべき、という空気感を2009年頃は感じていたというのだ。ただ、NHKですらマッチョの気象予報士が出演するなど、時代は大きく変わった。従来型の真面目一徹な男性ベテラン気象予報士像に変化をもたらした立役者の一人は、石原良純氏だったという。穂川さんは「私は“女版石原良純”になりたい」と公言するようになった。

「石原さんは、いじられる気象予報士の原点です。“お前の予報、はずれたぞ!”とか、視聴者にコテンパンに言われた。それが世間的にOKな空気になってから、他の気象予報士もいじられる流れになりました。いじられて、愛される予報士ということで、石原さんみたいになりたい、と思ったんです」

どうやってこの5分の尺を盛り上げるか

 穂川さんのアベプラでの天気予報は、普通の天気予報から比較すると「ヘンテコ」である。何しろ、雑談や出演者とのやり取りが続き、最後に自分で描いた全国の天気予報のフリップを出すという流れなのだ。ある意味で、天気予報が「おまけ」のようになっている。アドリブも多く、天気予報というよりは、「穂川さんが出演者からいじられるドタバタトークショー」のようになりがちだった。

「というのも、基本的に台本が『以下、穂川さんフリートーク』『以下、天気』と、すごくシンプルなんですよ。どうやってこの5分の尺を盛り上げるかを自分で考えなくてはいけませんでした。そこには自虐性を加える必要もあったんです。『はーい、天気だよ、みんな楽しんでね』みたいに、自分だけがハイテンションで出オチしやすくなるコーナーだと思っていたんです。

 そもそも、お天気コーナーのポジションが、番組の空気をガラッと変えるという立ち位置でした。報道番組なので悲惨なニュースや、暗い話題も取り扱うわけです。重い空気がスタジオに漂うなか、私がノー天気な感じで登場して、その場の空気を変えるということを考えました。せめてお天気コーナーは人を傷つけないコーナー、重いテーマを扱った後でも番組の最後でホッとできるコーナーにしたかったんです」

 オウム真理教の「尊師」である麻原彰晃の三女・アーチャリーこと松本麗華さんがゲストで来た時があった。麻原の娘として生きるとはどういうことか? などを麗華さんから聞く内容だったが、お天気コーナーの前にかなり重苦しい空気が漂った。戸塚ヨットスクールの戸塚宏氏が出演した後も出演者は疲労困憊する状態に……。そのような空気を読んで、穂川さんはCMを挟んだ後のお天気コーナーで呑気な空気に戻そうとしていた。

 穂川さんの決めポーズ兼決めゼリフは、顎に両拳を乗せて「きゅるん」とカメラに向かうことだが、出演者も半強制的に同じポーズをするのが通例だった。多くの出演者が恥じらいながらこのぶりっこポーズを決め、穂川さんは政治家にも「きゅるん」を要求したことがある。それは、2024年の自民党総裁選である。

 この総裁選には、9人もの候補者が出馬し、全員がアベプラに登場。さすがに「空気を読め!」と言われそうな状況だが、穂川さんは「総理大臣になる皆さん、“きゅるん”をやりましょうねー!」と候補者に言った。この時、現総理大臣の高市早苗氏はやってくれたが、総理になる石破茂氏はやってくれなかった。これについて「石破さんがやってくれなかったのが残念」と穂川さんは語った。

第3回【アベプラに10年間出演、気象予報士「ほかのん」が明かす「とりわけ感謝したい人」】では、同番組に10年間出演してきた中で、穂川さんが体験した様々な出来事や、共演者とのエピソードについて伺いました。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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