「芸能人コメンテーター」はもう不要か カンニング竹山「ニュースやめます」宣言の背景

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ネットで十分

 だが、ネット文化の発達によって、彼らの存在意義はどんどん失われていった。かつての芸能人コメンテーターには、複雑なニュースを「普通の人にもわかる言葉」に変換する役目があった。

 しかし今、その仕事はネットの中だけで完結してしまう。ネットニュースの記事で要点は短くまとめられ、SNSでは無数の投稿が論点を整理し、YouTubeやポッドキャストでは専門家を含む多くの論客が最新ニュースについて丁寧な解説をしてくれる。報道される内容を深く知りたい人は、ネット上のさまざまなツールやサービスを活用することで何でも気軽に学べる。

 また、芸能人コメンテーターは、ネットニュースやSNSでの切り取り被害にも悩まされるようになった。番組内での発言の一部が、文脈を無視した形で切り取られて、ネットニュースやSNSで拡散され、大炎上を引き起こしたりする。本人が意図していない形で発言が独り歩きしてしまうことが頻繁に起こるようになった。

 竹山もその被害者の1人である。「ABEMA Prime」で、国旗損壊罪の是非について議論した際の発言が問題視され、激しくバッシングされた。こういう経験も竹山がニュース撤退を決めるきっかけになったのだと考えられる。

 竹山がニュース撤退を決意することができたのは、彼が時代遅れになったからではなく、時代の変化に敏感だったからだ。メディア環境が変わったことで、ニュースの消費のされ方が変わり、芸能人コメンテーターの存在意義が失われることになった。この時代の大きな流れをつかんでいたからこそ、彼はそこからいち早く撤退することにしたのだろう。

 もちろん、今でも芸能人コメンテーターを起用している番組はあるし、すべての人が不要な存在になってしまったわけではない。しかし、今の時代には、芸能人コメンテーターは今まで以上に厳しい目で見られるようになっていて、意識を高く持っていなければ生き残れない状況になっている。

 竹山の撤退宣言は、1人の芸人の進路変更ではなく、テレビにおける芸能人コメンテーターという役割そのものが曲がり角に来ていることを示す象徴的な出来事だったのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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