ドラフト目玉に異変か? 敗戦で露呈した横浜・織田翔希の“課題”

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プレッシャーも原因の一つか

 コンディションは万全だったと語ったが、昨年の選抜では最速152キロをマークしたストレートがこの日は最速150キロにとどまり、力を入れて投げたボールがストライクゾーンから大きく外れるシーンも多かった。視察していたNPBのスカウトの目にも、この日の織田の投球には不安を感じたようだ。

「練習試合ではかなり状態が良いと聞いていましたが、立ち上がりは明らかに投げ急いでいて、バランスも良くなかったです。軸足にしっかり体重を乗せないまま上半身や腕の力で投げようとするので、どうしても体が前に突っ込む。打者から見てもタイミングがとりやすく、スピードガンの数字ほどの速さを感じていないように見えました。昨年は良く投げていた緩いカーブやチェンジアップがほとんどなく、緩急を使えないところも気になりましたね」(セ・リーグ球団スカウト)

 他のスカウトからは悪いなりに試合を作ったことを評価する声も聞かれたが、「去年の春の方がインパクトがあった」という声もあり、ドラフトの目玉としては不安の残る内容だったことは間違いないだろう。

 試合後の取材でフォームや具体的な技術面について織田からの言及はなく、思うようなピッチングができなかった要因については様々な可能性が考えられる。

 下級生だった昨年と比べて周囲からの期待、プレッシャーが高まっていたこともその一つではないだろうか。そして織田に注目が集まっている一つの要因が、NPBだけではなくメジャー球団も積極的に調査に乗り出しているという点だ。

夏にはさらに進化した姿を

 あるNPB球団のスカウトからは大会前にはこんな話も聞かれた。

「横浜高校で行われた練習試合には、メジャー球団の関係者は視察を遠慮してもらいたいという連絡が日本担当のスカウトにあったそうです。メジャーが視察に来たとなれば、また大きく取り上げられる可能性もあり、大会前の大事な期間にそれを避けたかったのではないでしょうか。織田本人の意向は分かりませんが、横浜高校サイドとしては少し神経質になっていた部分があるのかもしれません。ただでさえ横浜高校は高校野球の中でも人気と注目度の高さは圧倒的で、その中で結果を残し続けるというのは他のチームと比べても大変なのだと思います」(関東地区担当スカウト)

 織田の口からも「横浜高校の背番号1は簡単には背負ってはいけない責任や重圧がどの学校よりもあると思います」というコメントが聞かれており、その思いや気負いが逆にピッチングを狂わせてしまった部分もありそうだ。

 ただ、それだけ注目されるのも当然と感じるだけのポテンシャルを秘めていることは、不調だったこの日のピッチングからも十分に伝わってきた。試合後のインタビューで織田はこんな言葉も発している。

「負けに不思議の負けなしという言葉があるように、しっかり振り返ってフィードバックして、見えた課題に取り組んでいきたいです」

 重圧と悔しい結果を糧に、夏にはさらに進化した姿を見せてもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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