「サッカーW杯に出場する日本代表選手はネット史上最悪の罵詈雑言に晒されるかもしれない」と専門家も懸念…「WBC」「冬季五輪」で日本人選手に批判が殺到した異常事態の内

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 第2回【WBCで“敗戦投手”となった「伊藤大海」を襲った大炎上 新庄監督が「弱い人間じゃない」と擁護も…専門家が懸念する「擁護発言がネット上では逆効果になるリスク」】からの続き──。WBC日本代表が準々決勝で敗退すると、SNSなどでは選手に対する誹謗中傷が殺到した。ネット炎上の問題に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ミラノ・コルティナオリンピックでも日本人選手に対して多数の誹謗中傷が投稿されたのには、さすがに驚きました」と言う。(全3回の第3回)

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 井上氏は「アスリートに対する誹謗中傷がSNSに投稿されるようになった経緯を振り返ると、昭和のプロスポーツに行き当たります」と言う。

「昭和の時代では観客が選手にヤジを飛ばすことが珍しくありませんでした。この“伝統”がインターネット上に引き継がれてしまったというのが基本的な見取り図です。ただし、競技ごとで違いが存在したのは重要でしょう。かつてヤジがひどかったのはプロ野球とプロボクシングが双璧で、他は競馬、競輪、競艇といった公営ギャンブルでした。今でも野球選手に誹謗中傷が殺到するのは、昭和の時代に盛んだったヤジがネット上で再現されているという側面があります」

 Jリーグが発足するまでサッカーファンはそれほど多くはなかった。そのため井上氏によると、サッカー選手に対する誹謗中傷が表面化したのは2002年の日韓共催W杯からだという。

「SNSの利用者が飛躍的に増加し、さらにスマートフォンの普及で、いつでもどこでもネット上に投稿ができるようになりました。SNSの人気に比例して、アスリートに対する誹謗中傷も増加しています。最近は攻撃の対象も増える一方で、今回のミラノ・コルティナオリンピックでも日本人選手に対する誹謗中傷が殺到して驚きました」

次のターゲットはW杯と大谷翔平

「しかも、それほどメジャーではない競技の出場選手にさえ攻撃が殺到したのです。長年ネット空間を見続けてきた私にとっても初めての経験でした。昭和の時代、さすがにオリンピック選手に向かってヤジを飛ばす人はいませんでした。物価高や実質賃金の下落に苦しむ人々が増加したこともあり、『ストレスを発散するため、とにかく誰でもいいから選手に向かって誹謗中傷を投稿し、憂さを晴らしたい』と考えているネットユーザーが相当な数に達していることが分かります」(同・井上氏)

 井上氏によると、SNSに誹謗中傷を投稿する人は「目立っている有名人」が失敗した時に攻撃を集中させる傾向があるそうだ。

「誹謗中傷の問題は日本だけでなく、例えばアメリカでも起きています。しかしXなどSNSのプラットフォーム側は『巨額の資金を投じてまで、誹謗中傷を禁止したくはない』が本音です。本来であればプラットフォーム側はブランドの毀損を恐れるはずですし、中長期的にはAIの発達で監視機能の向上が期待できます。とはいえ短期的なスパンを考えると誹謗中傷は今後も増加の一途をたどるでしょう。具体的には6月から始まるW杯北中米大会は日本代表が優勝しない限り、ネット史上最大規模の誹謗中傷が日本代表の選手に襲いかかることが予想されます」(同・井上氏)

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