家族に絶句されて「自分は普通ではない」とやっと気づいた…29歳で年収1000万円、借金500万円 元保険マンFPが“見栄浪費”地獄を抜け出すまで

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「お金のプロ」であるはずの保険会社の営業マンが、実は多額の借金に苦しんでいる――。それが、かつての岩切健一郎さん(現在39歳)の姿だった。現在はファイナンシャル・プランナー(FP)として「お金が管理できない人」のサポートを得意とする岩切さんだが、20代後半は、まさにその「管理できない人」の典型だったという。華やかなライフスタイルとは裏腹に、カードローンなどで首が回らなくなっていた営業マン時代。どん底から、彼がどのようにして再生できたのか。その生々しい足跡を辿る。

「高いものを身につければ稼げる」という幻想

「20代で1着18万円もするスリーピースのスーツを何着も仕立て、胸ポケットにはダイヤが埋め込まれた7万円の高級万年筆を刺していました。夕飯は、なじみのイタリアンでシャンパンを傾け、3000円から5000円、時にはそれ以上のコースを日常的にオーダーしていました」

 そう語る岩切さんは、かつて外資系大手保険会社で営業職に就いていた。当時の年収は約1000万円。30歳手前という若さで、世間一般から見れば間違いなく「勝ち組」だった。

 しかし、その生活は自転車操業そのもの。華やかな生活の裏には、カードローンと消費者金融からの借金が200万円、リボ払いの残高が100万円、さらに大学時代の奨学金が約200万円と、合計で500万円近い負債があったのだ。

 なぜ、そこまで負債が膨れ上がったのか。

「最大の要因は〝見栄消費〟ですね。高価なものを身にまとい、食べる、それを格好いいことだと思いこみ、収入以上に散財していたのです。高いものを買ったほうが稼げる、という職場の雰囲気に流されていました。ただ、心のどこかでそれがよくないとわかっていたのでしょう、いつもどこか気持ちがそわそわしていました」

 収入の範囲内で支出をおさめる、そんな当たり前の身の丈にあった生活ができていなかったのだ。

家族にお金の管理を委ねつつ、確実に貯まる仕組みを作る

 そもそもお金の管理が苦手な岩切さん。一人暮らしをしていた20代のころは、あらゆるトラブルを引き起こしていた。奨学金の返済遅れで裁判所に出頭。住民税滞納で差し押さえ。支払忘れで電気やガスがストップ。引き落とし用の口座に入金し忘れて、カード会社のブラックリスト入り……。

「もうこんな失敗を繰り返したくない」。負債の総額が500万円になったところで、岩切さんは29歳のある日、自身の資産状況を恐る恐る家族に打ち明けた。

「信じられない!」

 絶句する家族を見て、岩切さんはようやく「やはり自分は普通ではない、かなりやばい状況なんだ」と自覚したという。ただ、生活を立て直したいと思っても、自分一人ではどうしても散財をしたい衝動に流されてしまう。そんな自分を彼は直視し、「自分にはお金を管理する能力がない」と認め、恥を忍んで家計管理を全面的に家族へ委ねることにした。「他の人に管理してもらう」という仕組みに頼ったのだ。

 あわせて、お金の管理が苦手でも、確実に貯蓄できる仕組みを作った。「月々の余ったお金を貯める」方針では永久に貯まらないと自覚したので、月々の貯蓄額を決めて、給与が入ると同時にその金額を貯蓄用口座に移す「先取り貯蓄」を徹底した。

 先取り貯蓄をしたら、その余ったお金でやりくりするわけだが、お金を管理できないタイプの人は、つい「うっかり」使い過ぎてしまう。そこでまず、支出を把握しやすい仕組みを作った。支払いを一枚のクレジットカードに集約し、そのカードのアプリをスマートフォンの最も目立つ場所に置いたのだ。これにより、家計簿をつけなくても、今、月にいくら使っているのか把握できるようになる。出費をこまめに脳へ刷り込むことで、無意識のうちにブレーキが働くようになった。

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