WBC連覇を逃すも…MLBで“二刀流”復活を期す「大谷翔平」が視野に入れる“メジャー最高の栄誉”
投打ともに26年シーズンを完走
だが、投手起用に慎重なのはWBCによって通常の春季キャンプとは異なる調整になったせいだけではない。ドジャースがスロー調整も要請したようだ。
「投手復帰した昨季も言われていたことですが、ドジャースが絶対に阻止しなければならないのは大谷のケガ。右肘に3度目のメスを入れることはあってはならないとしています。手術明けの投手が全力投球し、メスを入れた箇所をまた傷めたり、肘の痛みがなくなってつい力が入りすぎてしまい、肩や脇腹を痛めたりしてしまうケースもあります。実際、ドジャースも手術明けの投手にケガをさせて失敗した例もありました」(前出・現地記者)
昨シーズンの疲れが残っている――との見方もあるという。「疲労」というと、ワールドシリーズで連投した山本が取り沙汰されてきたが、同シリーズ中、何人かのドジャース選手が疲労回復の点滴を受けており、大谷もその一人だった。ドジャースが大谷らのWBC出場にあまり良い顔をしてこなかったのはそのためだ。
通常のシーズンオフであれば、先発ローテーション入りするメジャーリーグの投手は12月に練習を再開し、1月には投球練習も行う。12月は基礎体力、1月は投球練習というザックリとした分け方もできるが、WBCに出場する選手は例年以上に早く肩を作らなければならず、そうなると、基礎体力を養う12月の1ヶ月間を縮めて投球練習のステージに進むことになる。
WBC出場選手がシーズン突入後に故障するケースが多いのは、このオフの練習プログラムにも起因するとされ、ドジャースは大谷に投手としての調整を遅らせる必要があると判断したわけだ。
「ロバーツ監督の言葉を借りると、投打ともに26年シーズンを完走させるということです。大谷は『投げたがり』でもあるので、開幕からの約1ヶ月は先発させても50球程度に制限されるでしょう」(前出・同)
もっとも、この二刀流の完走はむしろプラスに転じるとの見方もされている。米スポーツ専門サイト「The Athletic」は大谷の侍ジャパン合流直前、「彼の登板間隔は中6日か、8日になるだろう」との予想記事を掲載した。投打の両方での出場による体力的な負担を上げていたが、
「この起用法は昨季終盤、ロバーツ監督も明かしていたもの。大谷が投げるのに万全を期するためだが、それはチームの勝利のためでもある」
と強く言い切っていた。
日本人初のサイ・ヤング賞
また、同時期の米スポーツ専門サイト「ESPN」では、「変化球に対する感覚と、それを常に操る能力に感銘を受けている」というロバーツ監督の大谷評を紹介し、「シーズンを完走すれば、二刀流での出場が加点になる。サイ・ヤング賞候補になってもおかしくない」と伝えていた。
「昨季、ナ・リーグのサイ・ヤング賞に選ばれたのは、メジャー2年目のポール・スキーンズ(23)です。スキーンズは187回3分の2を投げ、両リーグトップの防御率1.97、WHIP0.95、216奪三振と圧巻でしたが、勝敗は10勝10敗。順調に行けば、今季もスキーンズがサイ・ヤング賞受賞の筆頭候補ですが、大谷は投手としてフル出場した22年は、15勝9敗。奪三振数も219をマークしたので、スキーンズに対抗できます」(米国人ライター)
大谷が日本人初の同賞受賞となるのか。スキーンズの所属するパイレーツは目立った補強はしていない。おそらく今期も優勝争いをするであろうドジャースで、200奪三振以上を記録すればその可能性はさらに高まる。
WBCで投げられなかった鬱憤と、準々決勝で敗れた屈辱をシーズンにぶつけてくるのは間違いないが、その気持ちは序盤戦で球数制限されることでさらに強まりそうだ。
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