「お金がないから高校に行かせられない」…侍ジャパン“次期監督”候補「工藤公康氏」の運命を変えた“意外な人物”の言葉「それなら特待生制度があるぞ」

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弟の姿に気づかされた鳥谷

 1939試合――歴代2位の連続出場記録を持つ鳥谷敬(44)は、弟が生きている姿を見て人生観が変わった。3人兄弟で鳥谷は長男。3歳下と5歳下の弟がいる。下の弟も野球に励み、同じ出身校でキャッチャーとして期待されていたという。

 ところが、鳥谷が大学3年の時に高校2年の下の弟がネフローゼ症候群という腎臓病で野球を断念せざるを得なくなった。鳥谷が帰省した時は全身がパンパンにむくみ、下痢や吐き気で苦しみ、起き上がることもできず、生死をさまよっていた。しばらく弟を見ていなかった鳥谷はさすがに驚いた。

 弟は家では礼儀正しく、部屋に入る時にノックしてから「失礼します」と言って入ってくるようなやさしい性格だったという。そんな弟がベッドに寝ている姿を見て、掛ける言葉も見つからない。その時に気がついた。その頃の鳥谷は大学で本当に真剣に野球に取り組んでいるとは言えなかった。怠けていることもしばしばだった。

 しかし弟を見て、自分にも野球ができなくなる日が来ることを想像した。テーマは「その瞬間」だ。

「野球をいつか終える時が……必ずやってくる。もしかしたら明日かもしれないし、事故に遭って突然、野球ができなくなることだってある。そうなる可能性を弟の姿を見て気がつき、もっと本気で野球に取り組まなくてはいけないと覚悟ができました」

 弟から学んだ教訓。本気になった鳥谷が打ち立てた連続出場記録は「鉄人」と言われた衣笠祥雄に続くもの。今後、このワンツーの記録が破られることはおそらくない。

峯田淳/コラムニスト

デイリー新潮編集部

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