雅子さまとの結婚を決意するきっかけに… 天皇陛下、若き日の「南西アジア訪問」 浩宮さまが“爆笑”されたシーンとは

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温和な浩宮さまもこの時ばかりは……

 デリーの空港に着いたとたん、浩宮さまはハプニングに見舞われる。現地の突撃リポーターにマイクを突き付けられ、しつこくインタビューを求められたのだ。温和な浩宮さまもこの時ばかりは「単独インタビューは受けない」と英語ではっきり断り、一蹴した。王室のないインドらしい騒動だ。

 翌日、建国の父、マハトマ・ガンジーの記念碑がある聖地公園(ラージ・ガート)で献花。元首のザイル・シン大統領を表敬訪問したが、同行記者団が官邸に入る際、厳しいボディチェックがあったので、日本大使館側が抗議してやめてもらった。インドは2年半前にインディラ・ガンジー首相が暗殺されたので、テロ対策にピリピリしていたのだ。

 大統領は、「日本の経済・技術力は最先端を行っており、インドは今後も日本の経済協力を必要としている」と語った。続いて「プライベートな質問にお許しを」と前置きし、「まだ結婚しないのですか」とズバリ質問する。浩宮さまが記者団の方を見ながら、「まだです。なかなか日本のマスコミがうるさいので」と答えると、大統領は「日本以外の所で結婚したらいかがですか。結婚に厳しい制約があるのですか」と突っ込んだ質問を重ねていた。

 移動する車から、ストリートチルドレンをはじめ多数の路上生活者が見えた。浩宮さまは、

「多いことは聞いていましたが、実際に見て、驚きました。貧富の差が大きいことも学んだが、これもインドの多様性の一つだと思います」

 と話していた。アジアの現実を見聞できたのも歴訪の成果であろう。

浩宮さまが思わず大笑いされたワンシーン

 翌日からはインドが誇る歴史遺産の旅になる。世界最大の大理石建築「タージ・マハール」を見学した後、近隣の、16世紀にわずか14年で廃墟となった遺跡「ファテープル・シークリー」を視察している時だった。老人が遺跡の壁から20~30メートル下の池に突然、飛び落ちた。老人が池からはい上がってきて、離れ業の見物料のおねだりと分かり、浩宮さまも思わず大笑い。日本では体験できないハプニング続きのインド旅だ。

 40度近い炎天下、仏教遺跡「アジャンタ石窟(せっくつ)寺院」と、ヒンズー教など3宗教の混在した遺跡「エローラ」も見学。16日間の長旅を終えて3月25日に帰国した。

 浩宮さまは昭和天皇にブータンの民族衣装姿で帰朝報告をした。帰国からちょうど1カ月後、高円宮さまの仲介で外務省の小和田雅子さんと同宮邸で会う。その時に持参したのが、今回の親善訪問のアルバムなどだった。雅子さんとは前年に東宮御所でのパーティーで初めて会っているが、お二人だけの時間を持つのは初めて。緊張するお二人を和ませたのは、ブータンなどの土産話だったに違いない。

 浩宮さまはブータンの女性王族のおもてなしぶりを見て、雅子さんこそ結婚相手と確信するようになる。この3カ国訪問は現天皇陛下にとって、生涯の伴侶とライフワークを見つける旅となったのである。

 前編では、ネパールとブータンを訪問された際の秘話について紹介している。

斉藤勝久(さいとうかつひさ)
ジャーナリスト。1951年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。読売新聞社会部で司法を担当したほか、86年から89年まで宮内庁担当として「昭和の最後の日」や平成への代替わりを取材。近著に『占領期日本 三つの闇 検閲・公職追放・疑獄』(幻冬舎新書)など。

週刊新潮 2026年3月19日号掲載

特別読物「雅子さまとのご結婚を決意 天皇陛下忘れ得ぬ『ブータン訪問』秘話」より

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