「日銀」審議委員に二人のエコノミスト 「高市首相のカラーが前面に出た人事」

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リフレ派直系のエコノミスト

 政府は2月25日、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に、二人のエコノミストを充てる人事案を明らかにした。

 一人は、中央大学名誉教授の浅田統一郎氏(71)。3月末に任期満了を迎える野口旭氏の後任である。もう一人は青山学院大学教授の佐藤綾野氏(57)だ。6月に退任する中川順子氏の後任となる。

 すでにメディアは、二人を金融緩和と積極財政を志向する「リフレ派」と書くが、元大和総研主任研究員でテラ・ネクサスCEOの田代秀敏氏が解説する。

「まず、浅田さんはリフレ政策を持論とする有名な経済学者です。日本におけるリフレ派は、元日銀副総裁の岩田規久男氏がまとめた『昭和恐慌の研究』の執筆メンバーを源流としていますが、浅田さんは、このメンバーと共著を出すなど、リフレ派直系のエコノミストといえるでしょう」

 安倍政権の“後継者”を自任する高市首相のカラーが前面に出た人事といえようか。

アベノミクスを理論化

 もう一人の佐藤氏はというと、青学大では経済学部ではなく、法学部ヒューマンライツ学科の教授。以前は新潟産業大学や高崎経済大学でも教えていた。田代氏によると、佐藤氏のキーワードは「高圧経済」だ。

「高圧経済とは、過剰ともいえる金融緩和と財政出動によって、経済を刺激し続けるという考えです。簡単にいえば、アベノミクスを理論化したもの。佐藤さんも、『昭和恐慌の研究』の執筆メンバーである原田泰氏(元日銀審議委員)が編者となった本に高圧経済に関する原稿を寄せており、リフレ派の流れをくむ経済学者です」(田代氏)

 その原田氏にも聞いてみた。

「佐藤さんは法学部教授ですが、国際経済学が専門です。私が編者の『高圧経済とは何か』という本では、政府が高圧経済政策を採用すれば、国民の労働生産性が上がると書いておられます」

 日銀の審議委員になれば、その発言が為替を動かし、世界の金融関係者からも注目を浴びる。佐藤氏はどんなキャラクターの人物なのだろうか。

「お酒好きの明るい方です。なぜか元ジャイアンツの張本勲氏の大ファンで“張本のスポーツコメントはいつも正しい”と言っていました。北海道出身で、スケートをやっていたそうです。平昌、北京、ミラノ・コルティナ五輪のチームパシュートで連続のメダルに輝いた佐藤綾乃選手とは、名前の読み方が同じなので“他人とは思えないほどうれしい”と言っていましたね」(同)

 ちなみに、偶然にも浅田氏と佐藤氏は早大政経学部の経済学科卒。二人で日銀の「ワセダ閥」などと揶揄されるかも。

週刊新潮 2026年3月12日号掲載

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