「ゴミ箱に入ったビニール袋を集めている人が…」 在日イラン人が明かす、イラン国民の苦しい生活 「デモでは目の前で3人が射殺された」
祖国が焦土と化す中、いてもたってもいられず都心でデモを行う集団が現れた。在日イラン人である彼らの中には、トランプ大統領の写真やイスラエルの国旗を手に持つ者もいる。“即時停戦”を叫ぶのかと思いきや、意外な本音を口にして……。
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「トランプ大統領ありがとう! ハメネイを殺してくれてありがとう!」
そう口にする人々の姿が、都心にあるアメリカ大使館の周辺で見られたのは今月8日のこと。約4000人いるとされる在日イラン人の中で、現体制に批判的な人々が「母国の自由を求める在日イラン人団体」を結成。この日は約170人が集まり、アメリカとイスラエルによる攻撃への支持を表明するデモを行ったのだ。
イスラム原理主義を掲げるイランは、最高指導者ハメネイ師が殺害されて次男を後継指名した。徹底抗戦の構えを示すが、この日のデモに参加した在日イラン人たちは、そうした祖国の現政府への不満をぶちまけた。
「イラン国内では、少なくとも国民の7割は今回の攻撃を歓迎しています」
と明かすのは、日本の大学に通うイリヤ・ザビヒさん(18)だ。
「たとえ国際法違反であっても、今回の攻撃はイラン人を救う唯一の方法です。国民を平気で殺すような圧政を敷く政府から、国民を解放してくれる希望なのです。このようなデモをイランで行ったら間違いなく射殺されます。数年前にも、女性がイスラム教で定められた髪を隠すヒジャブを正しく着けていなかったとして、殺されたことがありました。国民の間では政府への不満がくすぶっていて、今年1月に現地で起きた大規模デモでは、たまっていたものが一気に噴き出した。この時、少なくとも3万人もの人々が射殺されたと聞いています」
「目の前で3人撃たれた」
渦中の現場にいたと振り返るのは、34年前に来日して日本人女性と結婚、永住権を得た男性(56)だ。
「昨年末からイランに里帰りをしていたので、1月の大規模デモに参加しました。そこでは警察がバイクに二人乗りでやってきて銃を撃っていたのです。散弾銃を使っていましたが、少なくとも目の前で3人が銃で撃たれて殺された。殺害されたデモ参加者の多くが、18歳から30歳くらいの若者でした。そうした光景を見て、ますますイランを良くしなければいけないと思ったんです」
国民は苦しい生活を余儀なくされているそうで、
「帰国した際、街でゴミ箱をあさる人を見て驚きました。ゴミ袋を引っ張り出し、外側のビニール袋だけ集めてお金に換えていたのです。政治家たちは石油で稼いだお金をテロリストに回すのではなく、国民のために使うべき。政府に味方する人たちだけが、いい家や車を得ています」(同)
「空爆とデモでの殺りく、どちらが悪いのか」
そうしたイランの現実を、世界中のメディアが大々的に報じてくれないと訴えるのは、都内のデモに参加した40代のイラン人男性だ。
「日本のマスコミは、イランの革命防衛隊がコントロールしている国営メディアや、東京にいるイラン大使からの情報を垂れ流していますよね。イラン側の主張では空爆開始から1週間で1332人が亡くなったと伝えていますが、1月のデモではもっとたくさんの人が殺された。どっちが悪いのか。もちろん今回の攻撃でイラン人が亡くなったのは悲しくて仕方ないし、私の母や姉はイランにいますが連絡が取れていません。イラン国民9000万人のことが心配です。もっと日本のテレビも新聞もイラン人の本当の声を伝えてほしい」
かような複雑な事情を抱えるイラン情勢に対して、高市首相はどう挑むのか。公邸に引きこもりがちな彼女の姿からは、明確な覚悟は伝わってこないのだ。


