劇的ホームランだけじゃない…「侍ジャパン」を世界連覇に導く大谷翔平、もうひとつの“大事な役割”
連覇へむけて、侍ジャパンが決勝ラウンドへ進出しました。今大会でもキーマンとなったのはやはりあの人……名古屋のTOKAI RADIOでプロ野球をメインに35年間、スポーツ担当のアナウンサーを務めた村上和宏さんが、侍ジャパンの健闘ぶりを実況アナの視点から分析します。
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大谷の凄さ……
もはや言い表す言葉が見つかりません。
初戦となる台湾戦(3月6日)の先制満塁ホームラン、韓国戦(同7日)の同点ホームラン……。大谷翔平(31)の精神力、集中力、どこを見ても文句をつけようがありません。ただただ脱帽です。
第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンが1次ラウンド最終戦のチェコ戦を待たずに、プールC1位通過で決勝ラウンド進出を決めました。私は評論家ではないので技術的なことはわかりませんが、35年間、仕事として野球を見続けた観点から、侍ジャパンの1次ラウンドの戦いぶりを振り返ります。
まず初戦の相手である台湾は、前回(2024年)「世界野球プレミア12」の優勝国。今回のWBCでも優勝候補に挙げる声もあり、侍ジャパンにとっては今大会の行方を占う大事な一戦でした。それでなくても最初の試合で何かと戦いにくい上に、相手は強敵ということで、選手たちには相当なプレッシャーがあったと思います。
その独特な緊張感を一気に払拭したのが大谷の一発です。ここからさらに打線がつながり、一気に1イニング10点のビッグイニングになったことで、井端弘和監督(50)もホッとすると同時に今大会での戦いに「いける」という手ごたえを感じたと思います。
最後まで息をのむ接戦となった翌日の韓国戦は、前日7回コールド勝ちの勢いを止められ、初回から先制を許す苦しい序盤となりました。
ここでもチームを救ったのは大谷でした。バットを振り切った後、打球の行方を見ながら確信歩きの完璧なホームランで同点。ダイヤモンドを一周してベンチ前で祝福を受ける大谷が「落ち着け、落ち着け」「はい同点、同点」とチームメイトに大きな声で語りかけながら、ハイタッチを受ける姿が印象的でした。
想像の域を出ませんが、大谷の胸中は「同点になったから試合は振り出し。ここから改めてこの試合のスタートだ」。そんな思いだったのではないでしょうか。大谷が侍ジャパンの「ムードメーカー」という言い方をする人もいますが、チームにとって大谷の存在はムードメーカーをはるかに上回る「精神的支柱」だと感じます。
NPBでは伝統的な「野球道」のような考えがずっと支配的だったので、いわゆる「ムードメーカー」と呼ばれる選手は存在しにくい傾向があります。
あえてムードメーカーの例を挙げるとすれば2021年~22年にヤクルトスワローズが連覇を成し遂げた時の塩見泰隆(32)でしょうか。持ち前の明るさでベンチを盛り上げる姿が印象的でした。特に21年のクライマックスシリーズを制し、試合後の表彰式でMVP発表前、素晴らしい活躍をしたこともあって山田哲人(34)や村上宗隆(26)から「おまえだ、おまえだ」と前に押し出されるのを笑顔で嫌がり、MVPが奥川恭伸(24)とアナウンスされると、大袈裟にずっこけてチームメイトだけでなくスタンドからも大爆笑を誘ったひょうきんな姿は「ムードメーカー」と呼ぶにふさわしいし、その先の日本一につながった原動力のひとつだと思います。
大谷は普段、決して大きな声を出して鼓舞することはありません。しかし、前回WBCで優勝を決めた瞬間にキャップを投げ捨て雄たけびを上げたように、ここぞという場面で感情を爆発させます。このメリハリがチームに良い刺激になっているのではないでしょうか。
ご存じの通り、韓国戦のこの回は鈴木誠也(31)、吉田正尚(32)と、終わってみればMLB組の3ホーマーで一気に勝ち越し、その後同点に追いつかれたものの、勝ち越しは鈴木の押し出しフォアボール。続く吉田の2点タイムリーで突き放しました。
「1点を争う好ゲーム」
見ている我々は、ついそう言ってしまいますが、1試合の勝敗が決勝ラウンド進出に大きく影響するWBCだけに、実際に戦っている選手は想像を絶する極限状態でプレーしているはずです。
そんな中、打ちたい気持ちをグッとこらえ、冷静にボールを見極めた鈴木。力むことなく甘い球をはじき返した吉田、ともに「さすが」というしかありません。
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