「運を呼び寄せる政治的本能が」 高市首相とサッチャー氏の驚くべき共通点とは

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【前後編の後編/前編からの続き】

 在職140日を超えた高市早苗首相(65)の周囲が騒がしい。国会では公約どおり「国民会議」が始まったのに、自ら釈明に追われる場面が目立つのだ。持ち前の“ヤンキー気質”で難局を乗り切らんとするが、師と仰ぐ「鉄の女」との驚くべき類似点があるという。

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 前編では、高市首相が閣僚に向けて”高圧的”とも取れる発言を行う理由について報じた。

 各々の母国で「初の女性首相」となった二人。高市氏はサラリーマン家庭に生まれ、マーガレット・サッチャー氏は厳しい階級社会のイギリスにおいて、食料品店の娘から政界に進出してトップの座に上り詰めたことで知られる。

 奇しくもサッチャー氏が首相に就いた70年代後半のイギリスと、令和の日本が似通っていると指摘するのは、ロンドン在住の国際ジャーナリスト・木村正人氏である。

「当時のイギリスは“英国病”と呼ばれる不況のどん底にありました。国際競争力を失い追い詰められた状況から、国をいかに立て直すかという課題をサッチャーさんは背負っていました。翻って今の日本を見れば、国民が現状への危機感を持って追い込まれているからこそ、高市さんが選ばれたのだと思います。世襲や家柄の良い、従来からいる男性政治家よりも人々の暮らしを肌感覚で理解しているように見える。国力が落ち込んでいく中で、人々が無意識のうちに求めていたタイプのリーダーだといえるのではないでしょうか」

運を呼び寄せる政治的本能

 自分自身の見せ方を強く意識している点でも、二人は似通っている、と木村氏は語る。

「サッチャーさんは、テレビというメディアを意識した政治家でした。アメリカの大統領選のような選挙手法を初めてイギリスにも取り入れ、派手なパフォーマンスで有権者を引き付ける手法を使った。例えば、スピーチコーチをつけて、話し方を徹底的に鍛えました。服装にも強いこだわりを持ち、自分をどうブランディングするか意識した。『サッチャーブルー』を自身の象徴的なカラーとして打ち出していったのです」

 昨年10月、第104代首相に指名された高市氏は、ロイヤルブルーのスーツを着用。「サナ活」に見られるように、小物類にも気を配り、笑みを絶やさずお茶の間の好感度を上げた。

 7割近い支持率を背景に、衆院選で圧倒的な“爆勝”を得た高市氏だが、サッチャー氏も同様に選挙に強い政治家として有名だった。

「3回の総選挙を勝ち続けたサッチャーさんは、運を呼び寄せる政治的本能を持っていました。よく彼女は“ブレない政治家”とか“信念を貫いた政治家”と紹介されますが、政治は妥協の産物ですからね。もしサッチャーさんが周囲と妥協せずに独断専行を続けていれば、11年も政権を維持できなかったでしょう。どんな議論でも、最後は落としどころを見つける現実的な政治家でした。ジェフリー・ハウという側近とも相談して物事を進めていったのです」(同)

サッチャーから学ぶべき最大の教訓

 そんなサッチャー氏でさえ、選挙で勝利を重ねるうちに慢心が芽生えた。

「3回目の選挙後、後のユーロになる欧州単一通貨の導入が大きな議論となりました。その際、サッチャーさんは周囲の意見は聞かずノーだと言い張った。最後は側近のハウにも造反されて孤立無援となり退陣を余儀なくされてしまったのです。それまで順調過ぎたがゆえの万能感は、政治指導者にとって本当に危険です。高市さんがサッチャーさんを尊敬するのであれば、最大の教訓は独善に陥らないこと。有権者は議席の3分の2を自民党に与えるという形で、日本を立て直してほしいとの意思を示したわけですから、その期待に彼女は応える責務があります」(木村氏)

 イラン攻撃で物価高に拍車がかかれば、消費減税が実現したとて、その効果も吹っ飛ぶなど難題が次々に押し寄せる昨今、高市氏の真価が問われている。

 前編では、高市首相が閣僚に向けて”高圧的”とも取れる発言を行う理由について報じている。

週刊新潮 2026年3月12日号掲載

特集「ヤンキー高市首相と鉄の女サッチャー 驚きの類似点」より

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