開幕前に見えた序列 中日・中西が軸…セ新人王レースに潜む“伏兵”

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 開幕まで1か月を切ったプロ野球。ペナントレースの行方はもちろん、個人タイトル争いも気になるところだが、中でも注目されるのが新人王争いである。野球人生で一度しか受賞できない特別なタイトルであり、1年目の目標に掲げるルーキーは多い。一方、新人王の資格を残す入団2年目以降の選手にもチャンスはある。そんな新人王レースについて、ここまでのキャンプやオープン戦でのプレーを踏まえて展望していきたい。今回はセ・リーグ編である。【西尾典文/野球ライター】

周囲に気を配りながら自分の意見をはっきり言える

 まず本命に挙げたいのが、中日のドラフト1位ルーキー・中西聖輝(青山学院大)だ。智弁和歌山では3年夏にエースとして甲子園優勝を果たし、青山学院大では全国屈指のレベルを誇る東都一部で通算17勝3敗をマーク。学生最後の大会となった明治神宮大会では、決勝で17奪三振完封という圧巻の投球を見せた。150キロ前後のストレートと多彩な変化球を高精度で操る完成度の高さが最大の武器だが、それだけではないという。

「高校、大学と強豪校でエースを務め、大舞台を経験してきた点は大きい。精神面が非常にしっかりしています。捕手と積極的にコミュニケーションを取り、周囲に気を配りながら自分の意見をはっきり言える。性格的にプロ向きだと思いますね」(中日球団関係者)

 キャンプ中の練習試合では2試合4イニングを無失点と順調なスタートを切った。好投しながら打線の援護を欠く展開は懸念材料だが、ローテーションを守れれば一定の数字を残す確率は高い。

 一方、対抗馬として挙げたいのが、同じくドラフト1位の左腕・竹丸和幸(鷺宮製作所→巨人)である。崇徳高時代は無名に近い存在だったが、城西大、鷺宮製作所で着実に力を伸ばし、昨年は社会人最高峰の都市対抗で堂々たる投球を披露した。

 細身の体から鋭く振り抜く150キロ前後のストレートは数字以上の勢いがあり、チェンジアップやスライダーは一級品。本格派左腕にありがちな制球難は見られない。オープン戦初登板となった2月22日の中日戦では2回無安打3奪三振無失点と上々の内容だった。

 課題はスタミナ面にある。社会人時代はシーズンを通してフル回転した実績が多くなく、登板間隔が詰まると球威が落ちる傾向があった。さらに巨人は楽天から獲得した則本昂大、ハワード、新外国人のウィットリーら先発候補が豊富で、状態を落とせばローテーションから外れる恐れがある。いかにコンディションを維持できるかが鍵となる。

圧倒的な長打力

 3番目に注目すべきは、昨年のドラフト会議で目玉だった立石正広(阪神)だ。リーグ戦では通算15本塁打、3年秋に出場した明治神宮大会では大会新記録となる10安打を放つなど大学ナンバーワンスラッガーとして注目を集め、3球団が1位競合の末に阪神に入団した。

 最大の武器はその圧倒的な長打力で、一昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿ではフリー打撃で広い坊っちゃんスタジアムの場外へ運び、スカウト陣からも驚きの声が上がった。合同自主トレ中に右脚の肉離れで離脱し、キャンプ期間中の実戦デビューはお預けとなったが、これもマイナスばかりではないようだ。

「阪神のドラフト1位はマスコミの注目度が非常に高く、それだけで大きなプレッシャーになります。ただ、怪我で出遅れたことで自分のペースを保てた面はあるでしょう。練習での打撃を見る限り、佐藤輝明や森下翔太の1年目と比べても遜色ありません。最初からバリバリやっていればさらに騒がれ、相手のマークも厳しくなる。首脳陣は無理をさせず、段階的に仕上げていく方針のように見えますね」(阪神球団関係者)

 全国区の注目を浴びる阪神だけに、過去にはそのプレッシャーに苦しんだ選手も多かった。立石にとって“静かなスタート”はむしろ追い風になりそうだ。

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