「選ばれる強豪」「選ばれなくなる強豪」…高校野球“総合力の時代”が始まった
横浜高校というブランドの力
ただ、この三つの要素がすべて高い水準でそろっていなくても、有望選手から選ばれているチームは存在する。その筆頭格と言えるのが横浜だろう。
2015年夏に長く指揮を執った渡辺元智監督が退任して以降、甲子園出場は果たしながらもあと一歩で勝ち切れない大会が続き、県内のライバルである東海大相模の後塵を拝することも少なくなかった。それでも昨春の選抜では19年ぶりの優勝を達成。今季もプロ注目のエース・織田翔希をはじめ、中学時代から将来を嘱望された選手を数多く擁している。
しかしながら、横浜は全国屈指の激戦区・神奈川に属するがために、甲子園出場の難易度は、前述の3校と比べても決して低くない。進路面を見ても、昨年主将を務めた阿部葉太が早稲田大へ進学したものの、同校野球部からの進学は初めてのケースであり、“出口の強さ”で群を抜いているわけではない。それでも有望選手が集まる背景には、「ブランド力」という第四の要素がある。
「やはり横浜高校というブランドの力は大きいですね。特にいまの中学生の親世代は、松坂大輔(元西武など)が大活躍し、春夏連覇を達成した当時の印象が強く残っています。あのユニフォームを着てみたいという憧れを、親から子へと受け継いでいるケースも少なくないと思います。それに神奈川県の高校野球人気は非常に高く、地方大会でも横浜スタジアムが満員になることがある。あのような舞台でプレーできるということ自体に魅力を感じている選手も多いのではないでしょうか」(同)
夏の甲子園大会が第100回の節目を迎えた2018年には、現役プロ野球選手が母校のユニフォームを着用し、球児へビデオメッセージを送る企画が行われた。その際、大島洋平(中日、享栄出身)は、チームメートで横浜出身の福田永将の姿を見て、「(ユニフォームの)オーラが凄い」と語っている。横浜のユニフォームが放つ存在感は、世代や立場を超えて共有されており、野球界において「横浜」というブランドが確立している証拠だと言える。
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