なぜ山本舞香は「愛されるヤンキーキャラ」になれなかったのか 「筋の通った不良」ではなく「威圧的なヤカラ」に見えてしまう理由

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「筋の通った不良」と「威圧的なヤカラ」を分かつ成り上がりの美学 有名芸能人2世との結婚が奪った「ハングリー精神」というセールスポイント

 冒頭の「ろくでなしBLUES」や近年の「WIND BREAKER」など、日本人が熱狂してきたヤンキー像には共通の原則がある。それは、どれほど粗暴であっても根底には「筋」が通っており、弱きを助け、自らの力で天下を取るという「成り上がりの美学」だ。

 しかし、山本さんに寄せられる批判の内容を見ると、世間は彼女に「硬派な不良」ではなく、周囲を威圧する「ヤカラ(輩)」に近いものを感じ取ってしまっているのではないか。

 その象徴として語り継がれているのが、家を訪ねてきた兄の恋人に対して言い放ったとされる「ここ舞香ん家(ち)だから」という強気な発言や、「王様のブランチ」(TBS)での共演者に対する不機嫌な態度、CMやドラマ撮影時のメイキング動画で見せる気だるげな様子などである。気分が乗らなければ反抗心をあらわにする性格は、おぎやはぎやマツコ・デラックスさんといった百戦錬磨の芸能人でさえ、「怖い」「ヤンキー」と苦笑していたほどだ。

 山本さん自身は奔放な態度をとがめられても、「裏表がない自分らしさ」と自認し、「(自分を)作ってまで別にやりたくないです、この仕事」と突っぱねてきた。しかし、その「自分らしさ」が自分より立場の弱いスタッフ相手や公共の場でのマナーを軽視するように映ったとき、世間はそこに「筋」ではなく「タレントパワーをかさに着た傲慢さ」を見てしまう。ヤンキーヒーローたちが殴り合った後に見せる清々しいお互いへの敬意。その要素が欠落して見えることが、彼女の苦悩が世間に伝わらない一因となっているのだろう。

 さらに世間の反発を強固にしているのが、夫・Hiroさんの出自だ。森進一さん・森昌子さんを両親に持ち、兄はONE OK ROCKのTakaさんという、これ以上ない「芸能界のロイヤルファミリー」の一員である。

 しかし、ヤンキーキャラが世間に認められるための最大のセールスポイントは、「どん底から這い上がってきた」というハングリー精神に他ならない。最初から金色に輝く椅子に座っているように見える2世タレントが成功を誇示すればするほど、それは「成り上がり」ではなく「特権の享受」と見なされる。

 全身をハイブランドで固め、華やかなツーショットを発信する夫妻の姿には、金満スタイルという言葉がチラつく。そこには日本人が好む「泥水をすすって成功をつかみ取った」という、ヤンキーコンテンツならではのカタルシスが存在する余地がない。

 ちなみに山本さんは「料理上手」「献身的に尽くすタイプ」とも評されている。ヤンキーキャラにとって「実は家庭的」というギャップは、アンチをファンに変える必勝パターンのはず。しかしヤンキー文化における「尽くす」という行為は、貧しさや苦境を共に耐え忍ぶ中でこそ輝く。夫と共に成功を誇示するようなイメージ戦略の中では、山本さんの愛情深ささえも「選ばれた者同士の排他的な結束」として映り、結果として「鼻につく」という反応を招いてしまっているのだろう。

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