ついにWBC開幕! 実況アナが語る「井端監督」秘話 「リモート出演の最中にお子さんが近づいてきて…“パパはいまお仕事中だから”と照れていましたね」
相手の嫌がることを
そんな井端選手が監督として、いよいよ連覇をかけてWBCに臨みます。
監督就任を打診された際、本人は本当に悩んでいました。世界一を成し遂げた栗山英樹前監督(64)の後任は荷が重すぎる、すでにU-12の監督なので兼任は難しい……。
しかし「ひとまず2年だけでも」と説得され、野球界のために引き受けました。しかも、U-12の監督は退任したのに、U-15の監督兼任となりました。「将来、トップに入る可能性のある選手たちを、中学生の段階から見てほしい」というオファーに応じ、歴代の侍ジャパン監督の誰よりも重い責任を背負いました。昨年のプレミア12で、トップチームにプロだけではなく大学生を選出したのは、まさに若い世代にも精通した井端監督ならではの人選だったと思います。
井端監督が現役時代そうだったように、WBCでは堅い守備、粘りのバッティングを中心に、今や世界が認める日本人プレイヤーたちにグラウンドで大いに暴れてもらいたいものです。最高のメンバーでどんなオーダーを組むのか、球数制限などWBCルールに縛られる状況でどんな継投を見せるのか……興味は尽きません。
勝手な想像ですが、井端監督の野球観は「勝つためには、いかに相手が嫌がることをするか」だと思います。例えばバッター専念と伝えられるドジャースの大谷は1番に置くのがいいのか、それともポイントゲッターとしてクリンアップに置くのか、注目されるポイントですが、「大谷が何番の打席に入っているのが相手は一番嫌か」を基準にオーダーを組むのではないでしょうか。
WBCは短期決戦です。クライマックスシリーズや日本シリーズでもよく語られることですが、長いシーズンと違い、短期決戦はたった一つのプレーがその行方を左右する過酷な試合です。「同じ試合でも短期決戦は戦い方が全く違う」と、ドラゴンズがポストシーズンに進出するたびに選手、コーチが口をそろえて言っていました。特に初めて進出した際は、レギュラーシーズンとの違いに戸惑ってしまうケースも多いようで、「何年か続けて出たことで対応の仕方が分かった」と語ってくれた選手もいました。
先発ピッチャーがピンチを迎えた際、シーズン中ならベンチが我慢する場面でも、短期決戦なら相手に流れを渡さないために早め早めの継投に入るのか。チャンスの場面で打てていないバッターに打順が回った際、信じて送り出すのか、代打を送るのか。143試合の中でその試合を落としても取り返せるレギュラーシーズンと、一発勝負に近い短期決戦では一試合の重みが違うため、よりシビアな采配が求められます。また選手の側にも、なぜこの采配なのかを的確に理解してプレーすることが求められます。裏を返せば短期決戦の経験の有無は大きな差になります。
今回選出された選手の中には(チームの成績なので本人の責任ではありませんが)クライマックスに出たことがない人もいます。井端監督は現役時代、このシビアな短期決戦を、国際試合を含め経験しています。自身の経験を惜しみなく伝えて選手一人一人が本来の力を発揮できるよう導いてもらいたいです。
今大会は、各国MLBの中心選手が参加します。世界が本気です。史上最も過酷な状況で井端監督がどんな采配をみせるのか。きっと一試合ごとに「何が相手に一番嫌がられるか」を基準にありとあらゆる作戦を繰り出してくることでしょう。それに応えてプレーする選手の中からいかに早く「WBC男」が出てくるか。想像するだけでワクワクします。
ローンデポ・パークで再び侍ジャパンがトロフィーを高々と掲げることを信じています。
【第1回は「あまりにも守備が巧くて「ファインプレーに見えない」…侍ジャパン「井端監督」球史に残る名ショートの真骨頂」】
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