紅白の過激演出から育児バラエティまで 年末年始のテレビを席巻した「異才」の正体

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HANAのプロデューサー

 そんな彼女はアーティストとしてだけではなく、HANAのプロデューサーとしても世間を騒がせている。HANAはBMSG主催のオーディション番組「No No Girls」から生まれたガールズユニットである。

 このオーディションでは「身長、体重、年齢はいりません。ただ、あなたの声と人生を見せてください。」という応募メッセージが掲げられていた。見た目や声や年齢を理由に「No」を突きつけられて埋もれていた才能を発掘する画期的な試みだった。プロデューサーのちゃんみな自身が、見た目などを理由に自分を否定され、自信を失ってきた過去があったからこそ、そのようなコンセプトを提示したのである。

 オーディションの模様を追いかけた「No No Girls」は大反響を巻き起こした。ちゃんみなが参加者たちを温かく見守り、優しく励まし、厳しく指導をする姿が視聴者の心をとらえた。参加者たちが互いに励まし合いながら自分に向き合い、努力を重ねて才能を開花させていく様子が爽やかな感動をもたらした。

 2025年4月にHANAはメジャーデビューを果たした。デビュー曲の「ROSE」は大ヒットを記録して、彼女たちは一躍スターダムに躍り出た。その後も「Burning Flower」「Blue Jeans」など矢継ぎ早に新曲をリリースしていき、そのすべてがヒット作となった。年末には日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞して、前述の通り「紅白」にも出場を果たした。

 ちゃんみなと彼女が手がけるHANAは、提供する楽曲やパフォーマンスで人々を魅了しているだけではなく、その歌詞やコンセプトに含まれているメッセージ性の部分でも評価されている。社会からの抑圧や偏見にとらわれず、ありのままの自分を肯定する力を与えてくれる。

 ちゃんみなの人物像を語る上で欠かせないのが、そのストレートな物言いと、自分の信念を貫く姿勢である。彼女は自分の考えを臆することなく発信する。その率直さこそが彼女の魅力であり、多くの人に支持される理由でもある。「こうあるべき」という既成概念にとらわれず、自分らしさを追求する姿勢を貫いている。それは音楽性においても、ファッションにおいても、生き方においても一貫している。ちゃんみながこれほど支持されているのは、分断と抑圧の時代を生き抜くためのリアルな言葉を発し続けているからなのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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