「クレカ金利を10%に」発言、FRB議長の刑事訴追を示唆…トランプ政権の熱心な“介入”は米国経済を失速させるブーメランになるか
盛んに介入するも実現可能性は
トランプ氏の攻勢はとどまるところを知らないようだ。9日には、クレジットカードの金利の上限金利を1年間に限り10%にすべきだと述べた。クレジットカードの借金返済に苦労する国民が多いことを踏まえての措置だ。
政権高官もトランプ氏の意向に沿うよう動き始めている。反トラスト(独占禁止)政策などを担当する米連邦取引委員会(FTC)のメドー委員は日本経済新聞のインタビュー(1月9日掲載)に応じ、生活費の上昇につながるM&A(合併・買収)などを阻止するため、我々にできるあらゆる手段をとると述べた。
このように、トランプ政権の民間部門への介入は近年では前例のないレベルに達しており、企業の自由な活動を保障する従来の共和党政権からほど遠い状況になっている。
また、トランプ氏の奮闘にもかかわらず、専門家の間では、打ち出された一連の対策の具体策は見えず、実現性に乏しいとの見方が一般的だ。
言うことを聞かないと刑事訴追?
逆に、企業活動に深刻な悪影響が出るのではないかとの懸念が生じている。ブルームバーグは11日、大手企業の最大の関心事が、トランプ氏の怒りの矛先が自社に向かうことを避けることになっていると報じた。
トランプ氏の政策方針に従う企業はより良い待遇を享受できる一方、言うことを聞かない企業は不利な立場に置かれる状況になりつつあるからだ。
気がかりなのは、政権の圧力が米連邦準備理事会(FRB)にも及んでいることだ。
FRBのパウエル議長は11日に発表した声明で、昨年夏に行った議会証言を巡り、米司法省がFRBに対し、刑事訴追を示唆する大陪審の召喚状を送ったことを明らかにした。
注目すべきは、この声明で召喚状を金利引き下げ圧力強化の口実とみなし、異例の政権批判を行ったことだ。
これに対し、ホワイトハウスは12日、トランプ氏はFRB議長の調査実施を指示していないと弁明した。真偽の程は定かではないが、FRBの政策に不満を募らせるトランプ氏の意向を、側近が忖度した可能性が高いようだ。ブルームバーグは12日、パウエル氏への召喚状の発出は連邦住宅金融局のパルト局長が主導したと報じた。
政権とFRBの対立は経済に悪影響
パウエル氏への召喚状については、与党共和党から批判が出ており、ベッセント財務長官も金融市場が混乱すると否定的だ。
トランプ政権とFRBの対立が決定的になったことで、市場では中央銀行の独立が失われ、米国経済に悪影響が及ぶとの警戒感が広がっている。
インフレ再燃の可能性が排除できない状況下で、次期FRB議長がトランプ氏の要請を受けて矢継ぎ早に大胆な利下げを行えば、1970年代のようなスタグフレーション(不景気の物価高)が再来するリスクが生まれるからだ。
人工知能(AI)ブームで好調を維持する米国経済だが、トランプ・リスクが躓きの石になってしまうのではないだろうか。
[2/2ページ]

