「報復四球を受けたのに笑顔で…」 大谷翔平2025年の名場面を「全試合現地観戦」した芸人が振り返る 「謙虚なだけでなく、MLBの価値観を塗り替えようとしている」
理想とする野球観
カーショウは今季限りで現役を退いた。しかし、公の場で大谷に惜しみない賛辞を再三送っている。
「大谷はプレーのすごさに加えて、チームをまとめる力がある。ドジャースの2連覇は、チームを一つにして勝利へ導く彼の力も大きく寄与したのは間違いない」
大谷が塗り替えるのは、自身の記録や所属球団の優勝記録にとどまらない、とミニタニは熱を込めて言う。
「6月のパドレス戦で、ドジャースの別の投手の球がパドレスの主力選手に当たる死球がありました。乱闘に発展し、両軍の監督が退場処分という異例の事態に。攻守交代後、今度は報復とみられるデッドボールを大谷は受けた。殺気立った自軍の選手に、大谷はまるで“まあまあ”となだめるように手を動かし、乱闘になる寸前で阻止したのです。さらに敵軍のベンチに向かい、エンゼルス時代に共にプレーした選手に笑顔で声をかけていました」
この対応を米メディアも称賛。MLBに根付く報復死球の文化自体を疑問視する声も出たほどだった。
「大谷は、現地ではハンブル=謙虚だと評されます。例えば試合最初の打席では、必ず敵チームの監督に向けて帽子のつばを触るあいさつをする。でも、死球の一件以降、このあいさつをパドレスの監督にはしなくなった」
その意味するところは、
「彼には自身の理想とする野球観があり、報復死球はそれとは異なるものだと考えたのではないでしょうか。いわば“無言の抗議”です。MLBには、アンリトゥン・ルール、つまり明文化されていないルールが数多く存在し、死球を当てても謝らないのが普通でした。謝れば故意と認めたと解釈されるからです。しかし大谷は、死球を当ててしまった選手に声をかけたり、“悪かった”という仕草をしたりするのです」
「謙虚なだけでなく、MLBの価値観まで塗り替えようとしている」
それは無論、アンリトゥン・ルールを理解した上での行為だと読み解く。
「ただ謙虚なだけではなく、150年のMLBの歴史の中で培われた常識に対しても、自身の信念に反するなら従わずに自分を押し通す。礼儀正しさや相手への敬意を重んじるという日本人的な信条を貫きながら、MLBの暗黙のルールや価値観まで塗り替えていこうとしているように見えます」
全試合の大谷を見続けていたからこそ気付けたであろう名場面の数々。4年に及んだその活動も、26年で最後にする予定だという。
「26年に50歳になります。体力的にもしんどくて。プロデュースするすし店が25年にミシュラン一つ星に輝いたこともあって、今後は事業を広げたい。とはいえ、3連覇が懸かっていますし、あと1年はやる予定なので、来季も頑張ります」
多額の出費にうれしい悲鳴を上げる季節がまた来るか。
[2/2ページ]

