「男か女か」ではなく「誰か」…「雅子さま」が苦しまれた“お世継ぎ問題”の重圧 皇位継承をめぐる本質的な問題とは

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肌感覚の意見が大勢に

 雅子さまが皇太子妃時代に訪問された、都内の子育て支援施設関係者の女性は「私もドラマを見ていました」とした上で、こう語った。

「雅子さまがお子さま好きであることは、お近くで拝見していて実感しました。流産の経験がおありだということも知っていました。愛子さまを授かったこと自体が大変なことなのに『もう一人』などと赤の他人が言うなんて、10年以上前のこととはいえ、とても信じられません」

 世界の人たちから、日本の国王と解釈されている天皇には男性しかなれないという決まりに、多くの国民が疑問を抱くのは、男女両性の本質的平等について規定する日本国憲法と矛盾していると感じているからだ。

 皇室制度の基本法である皇室典範の第一章第一条が、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定していることと憲法との整合性は、法律家の間では見解が分かれるが、宮内庁元幹部は「そうした専門的な議論は別途すべきでしょう」と指摘。その上で「肌感覚として『時代錯誤だ』とか『なぜ女性が天皇ではだめなのか納得がいかない』と思っている人は、確かに多いはずです」と話す。

 定年退職から数年が経過している、別の宮内庁元幹部もこう語る。

「過去に8人の女性天皇がいたという話も、一般の人たちには大した問題ではないのだと感じます。宗教上の問題も然りです。女性総理大臣も誕生した今、『なぜ日本の象徴が女性ではだめなのか。男か女かという次元で議論すべき時期はとっくに過ぎたはずだ』と考えているのは、若い世代や女性だけでなく、私たちの世代の男性にも少なくないように感じます」

 日本古来の、神道という宗教の儀式に組み込まれた女人禁制の伝統。一方で男女平等の考えからデンマークなど北欧各国や英国、オランダ、ベルギーで導入された女性の王位継承。

 小泉純一郎首相時代から実に20年越しとなる、こうした“水掛け論”とも言えそうな女性天皇の是非だが、そもそも皇位を継承できる児童自体が今後も誕生し得るのか……という危機的事態に突入していると考えるべき段階に来てしまっているのではないだろうか。

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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