完投数ダントツ1位の「日ハム」に最多勝「有原航平」帰還の衝撃…「新庄マジック」と最強投手陣で2026年のパ・リーグを席巻か
新庄監督の投手起用術
新庄剛志監督(53)というと、トリッキーな走塁戦術で相手チームを翻弄するイメージが強いが、それだけではない。若手を根気強く使い、一人前に育て上げた。また、独特の感性で投手陣を強化させた。それは日本ハムの先発ローテーションを見れば分かる。中6日の等間隔でほぼシーズンを通して投げたのは伊藤だけで、他の投手は7日以上の間隔を空けるほうが多かった。
「他のチームは、6人の先発ローテーション入りする投手が、そのうちの誰かに怪我や不振などのアクシデントがない限り、登板間隔を変えることはしません」(前出・同)
しかし、新庄監督は7人目、8人目の先発投手も待機させた。北山、グーリン、細野など若い投手が多いせいもあるが、長いシーズンを戦ううえで本人が大丈夫と思っていても疲れが取れていない時期もある。「中6日で疲れが取れないのであれば、もう1日」と考えたのが新庄監督であり、最初から6人以上でローテーションをまわすと決めておけば、疲労の蓄積具合も変わってくる。
その独特の投手管理術のおかげだろう。25年の日本ハムの連敗は「4」が最長で、3連敗が5回だけだ。しかも、チームトータルでの完投数「23」は12球団トップ。12球団2位が広島の「11」だから、倍以上の試合を先発投手一人で乗り切ったことになる。
「日本シリーズ中に決まった沢村栄治賞の選考委員会で、新庄監督の名前も出ていました。堀内恒夫委員長(77)も受賞者発表の席で『ただもんではないなと私は感じております。(先発完投の)原点回帰というんですか、そういう感じの談話をよく私も耳にしたり、目にしたりしてます』と褒めていました」(前出・同)
新庄監督は「先発、中継ぎ、クローザー」と分業制が定着した現在の野球観を否定しているのではない。今季は守護神に定着した田中正義(31)が打ち込まれる時期もあり、ブルペン陣の不安定さを補うための策でもあった。先発陣から誰かを救援にコンバートさせるのではなく、先発タイプで経験値の浅い若い投手をフルに活躍させる方法を考えた。リーグ2位のホールド数「126」も稼いでいるので、「無理はさせない」の姿勢も貫いたようだ。
継投策についても、柔軟な発想を見せている。クライマックスシリーズ(以下=CS)でのことだ。日本ハムは左のリリーバーが不足していたが、その貴重な左腕である宮西尚生(40)を出場登録から外した。しかし、新庄監督は宮西をチームに帯同させている。CSファーストステージ第1戦では守護神の田中を8回に起用し、最後は斎藤友貴哉(31)で締めている。本来だったら「齋藤-田中」の順番だが、8回の田中登板は宮西の助言だったという。900登板を経験し、NPB史上初の400ホールドも達成したベテランの助言は貴重だが、それ以上に一介の選手に助言役を託した新庄監督もさすがだ。
高校野球で勉強
「シーズン終盤、宮西の一軍登録を外しました。でも、新庄監督は宮西と直接話し、継投について意見してほしいと伝えていたんです。監督は自分のプランを宮西に語り、彼の意見も聞き、すり合わせをしていました」(チーム関係者)
CSファーストステージ第1戦後、新庄監督が「スペシャルウルトラダイナミック総合コーチ」と宮西を称賛し、記者団を笑わせた。意見のすり合わせについては2人きりで行われたのでわからないが、ペナントレースの佳境で登録を外されたベテランの今後のモチベーションも考えていたのではないだろうか。
「新庄監督は高校野球のテレビ中継をよく観ています。観ていて何か閃くと、紙を探してペンを走らせます。アマチュア野球を『下』と位置づけるプロ野球関係者も多いですが、勉強になると言っています」(前出・同)
25年ペナントレース最終戦後、新庄監督は「目標は95(勝)、それくらいせんと優勝できないから」と言い切った。25年の83勝に有原の14勝がそのまま加算されれば、目標数値はクリアされる。
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