「様子見」すら許されなかった…他局に大惨敗、フジ「イット!」青井アナ“スピード降板”の真相
「イット!」大敗は一大事
だからフジにとって「イット!」の大敗は一大事なのだ。夕方のニュースは全体の視聴率とシンクロしやすい。各局とも長丁場だからである。
さらに夕方のニュースは午後7時台の番組に強く影響する。同7時台の番組は夕方のニュースの終了直後から始まるからである。そのままチャンネルを替えない人が相当数いる。
だからフジは午後7時台の番組の序盤で不利なのだ。企画力や制作能力の問題もあるものの、番組開始の時点で他局に後れを取っている。
フジの午後7時台の番組の状況も見てみたい。やはり12月第2週である。7日間のうち、民放最下位の5位が1回、4位が3回、3位が2回、2位が1回。トップは1回もない。
同じ12月第2週のフジの週間平均個人視聴率は全日帯が民放4位、プライム帯(午後7~同11時)も同4位、ゴールデン帯(同7~同10時)も同4位。同5位は会社規模もネット局数も全く違うテレビ東京である。フジは年度視聴率でも同4位が9年度連続で続いている。
CM売上高は個人視聴率、コア視聴率(40代以下の個人視聴率)と正比例するからフジは長らく厳しい会社経営を強いられている。「視聴率は今の時代は関係ない」とする説が流れることがあるが、他局はフジを庇うための論ではないかと見てきた。今も昔も売上高は視聴率で決まる。
フジは宣伝がかなり派手で、特殊な手法も用いるため、他局と互角に戦っているようにも思われてきた。実情は違う。ずっと深刻な状態だったのである。
おまけに2024年12月に人権侵害問題が発覚した。今年1月にはスポンサーが大挙して離れた。10月までに多くのスポンサーは戻って来たが、まだ十分とは言えない。低視聴率との二重苦状態にある。
フジの2024年度のCM売上高は約1238億円。トップの日テレは同約2327億円。人権侵害問題があったとはいえ、ここでもほぼダブルスコアなのだ。
両局ともほぼ24時間放送で条件は同じだから、フジがいかに劣勢なのかが分かる。12月に入って支給された社員へのボーナスも激減した。挽回するために改革が欠かせなかった番組が「イット!」なのである。
大多氏不在の影響
青井氏の2年での降板は民放の先例から考えると早い。共演陣の入れ替えやコーナーの強化を行い、あと1、2年は様子を見るのが一般的だ。しかしフジは待てなかった。
大多亮氏の不在も青井氏の降板に影響したようだ。通常、大物幹部が連れてきたMCは降板させにくい。幹部自身が介入し「もう少し様子を見るべき」などと意見することもある。だが、現在の青井氏には大きな後ろ盾がない。
青井氏は「イット!」のスタッフへの不適切な言動が問題化したこともあった。今年4月にフジが公表し、青井氏には同様のことがないよう申し入れた。もっとも、降板とは関係がない。
降板理由は一にも二にも低視聴率だ。フリーの青井氏の高い年俸を嫌ったとの見方もある。おそらく年間1億円程度は受け取っている。本稿も10月21日付でフジが制作費を大幅に削減すると報じた。
2025年度第1四半期(4~6月)の制作費は約146億円だったが、第2四半期(7~9月)は約128億円に減った。第3四半期(10~12月)はさらに減少する見通し。
だが、制作費を削るのは金のかかるドラマ、バラエティが中心なのだ。「選挙特番」を除くと、ほとんど大きな金を使わない報道は対象外なのである。会社経営が苦しいからといって、金がないことを理由にNHKなど外部から招いたMCを斬り捨てたら、2度と外部から人を呼べなくなってしまう。
青井氏は本人が辞退しない限り、来年4月以降は別番組を担当するだろう。
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