「美少女キャラを描くのが巧い」でも「絵柄が個性的」でもない…生成AI時代に稼いでいる「イラストレーター」の意外な“スキマ需要”
イラストレーターに寺院より高い謝礼を払う理由
編集者が言うには、寺院に支払う総額の使用料よりも、イラストレーターに支払っている謝礼のほうが高いかもしれないという。それでも、イラストレーターに発注するほうがコストカットになるそうだ。最大の理由は、編集者の手間が省けることにある。
「画像を借りるために50~100か所近い施設とやりとりすることもあり、そのたびに写真の使用申請、校正の送付など、やることが多すぎるのです。メールでやりとりできるならまだ楽なのですが、神社や寺院、地方自治体はアナログ文化が根強く残っていて、未だに申請書をFAXや郵便で送るように指示する例が多い。
わざわざ紙に印刷して申請書を作り、社判を押してくれなどと指示されることもある。その申請書も厄介で、すべての施設によって異なる書式で一枚一枚書かなければいけない。イラストレーターにすべて絵を描いてもらえば、そういった使用許可も要らず、1人とやり取りするだけで済む。編集者にとって抜群にタイパが良く、ありがたいのです」
紙を使ったやりとりを何度も行うのは大変な手間である。それをなくせば、確保できた時間を原稿のクオリティ向上に充てることができるのだ。
専門性を高めたり、アナログに特化したりして稼ぐ
先の編集者は、「イラストレーターと聞くと、個性的な絵柄で作家性を重視するタイプが多いですが、むしろ、そうでないタイプの方が今は需要があるのでは」と話す。確かに、スキマの需要を見つけて稼いでいってこそ、プロというもの。作家性を発揮せずに仕事を得る秘訣を、実際に稼いでいるイラストレーターに聞いてみた。
「イラストレーターとして、仕事が速い、締め切りを破らない、政治的な発言をしないことは鉄則だと思います。私は、クライアントに悪い印象を与えないために、SNSを一切やらないようにしています。SNSでは特に政治的な発言は御法度。よほど指名で仕事が来るような著名人以外は、“面倒な人”と思われるのでやめた方がいいでしょう」
なお、かわいい女の子のイラストも決して需要がゼロになったわけではない。イベントで直接ファンに向けてイラストを販売したり、制作の依頼を受けているイラストレーターは、大きな利益を上げている人も少なくない。実際にそれをやっているイラストレーターが、こう話す。
「同人誌のように在庫を抱えるリスクがなく、依頼を受けた絵を描いていればいいので正直言ってかなり楽ですし、直接収入があるので助かります。デジタルしか絵が描けないイラストレーターはしんどいと思いますが、アナログのイラストの需要は上がっているので可能性がある。なかでも外国人は1枚20万、30万円で買ってくれる人もいる。お得意様です」
生成AIの出現によって新たに生まれる需要もあるというもの。プロの場合、時代の変化に柔軟に対応していく姿勢が求められるのである。筆者の知り合いには大学関係者の発注を受けて稼いでいるイラストレーターもいるが、スキマの需要を見つけ、それに合わせた専門性を高めることが、生成AI時代に生き残るカギであることは間違いないだろう。
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