祖父は人間国宝、祖母は扇千景 『国宝』吉沢亮に“師匠”と呼ばれていたという「若手女形のエース」

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 今年6月に封切られた映画「国宝」の国内興行収入が173億7000万円を突破し、22年ぶりに実写邦画の国内興行収入記録が更新された。映画史に刻まれる偉業だが、その立役者の一人とされる歌舞伎俳優の中村壱太郎(かずたろう・35)が引っ張りだこだ。

 ***

「二人道成寺」を発案

 芸能デスクも驚きの表情。

「公開以来の観客動員数は1231万人に達したとか。国民の10人に1人が見た計算になりますよ」

 作品は先月から米国でも公開されており、来年の米国アカデミー賞国際長編映画賞に日本代表作品としてノミネートされている。ちなみに、これまでの興行収入の1位は平成15年に公開された「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の173億5000万円で、観客動員数は現時点の「国宝」よりやや多い、1260万人とされる。

「『国宝』は、芸に身をささげた歌舞伎役者の一生を描いた作品。監修を歌舞伎俳優の四代目中村鴈治郎(66)が務めましたが、主演の吉沢亮(31)、共演の横浜流星(29)らに女形の所作を指導したのが鴈治郎の長男の壱太郎だったのです」

 歌舞伎担当記者の解説。

「壱太郎は歌舞伎役者だけでなく、日本舞踊吾妻流の七代目家元・吾妻徳陽という顔も持っています。撮影には父子で参加しましたが、壱太郎は父と異なり舞踊家として関わりました。吉沢と横浜が並んで舞踊を披露するシーンの演目を『二人道成寺(ににんどうじょうじ)』としたのも彼の発案だったそうです」

 11月18日、都内で行われたトークイベントに登場した壱太郎は、映画で吉沢と横浜が見せた「二人道成寺」での踊りについて、

「うれしそうに“華やかさが違う。吉沢さんは色っぽいけれど、流星さんはパーッと派手なんです”と、二人の個性の違いに触れながら振り返っていました」

生粋のサラブレッド

 いまをときめく二人のイケメン俳優は、撮影現場で世代が近い壱太郎を“師匠”と呼ぶなど、全幅の信頼を寄せていたという。その壱太郎は、歌舞伎界における“若手女形のエース”と将来を嘱望される存在でもある。

「祖父は平成6年に人間国宝に認定された坂田藤十郎(故人)で、祖母は参院議長も務めた元女優の扇千景(同)、母は舞踊家の二代目吾妻徳穂(68)という生粋のサラブレッドです。さらに叔父は中村扇雀(64)、大叔母に中村玉緒(86)と、上方歌舞伎界きっての名門一族の出でもある。超のつく優良血統に加えて、幼稚舎から大学まで慶應義塾に通った慶應ボーイなんですよ」

 その壱太郎には映画の大ヒットが追い風となったか、東西の劇場から大役のオファーが相次いでいるという。

「かねてより演技の実力には定評がありましたが、あの『国宝』の製作に関与したことで、その評価がさらに高まりました。知名度も急上昇し、来年1月には大阪松竹座で女形の歌舞伎舞踊の中でも屈指の大曲とされる『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』を踊ることに。3月には京都南座に出向き、『国宝』で吉沢と横浜が演じた『曽根崎心中物語』に主人公の女郎・お初役で出演することも決まっています」

 その後も快進撃は続き、

「さらに7月には、東京・新橋演舞場でスタジオジブリの名作アニメ『もののけ姫』を基にした新作歌舞伎にヒロインの少女サン役で出演します。主人公のアシタカ役は市川中車(60)の長男の市川團子(21)。売れっ子若手の共演で、いまから話題になっています」

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。