「阪神独走」を許した巨人の惨状は「阿部監督だけの責任じゃない」…元巨人4番が語るフロントの抱える問題「球団を牽引した2人の死去も影響している」

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巨人のフロントが抱える問題

 もし阿部監督が本当に辞任したら、次期監督は誰かという問題も浮上する。

「指導者の人材不足は巨人だけの問題ではないとはいえ、果たして今の球界に巨人ほどの名門球団を率いるだけの人物がいるかという議論も、巨人ファンの間では起きるのではないでしょうか。しかしながら、もし来季も巨人がリーグ優勝を逃したり、日本シリーズに進出できなかったりすれば、阿部監督の責任問題に発展するのはさすがに避けられないでしょう。次期監督を巡って激しい議論がファンの間で起きるにしても、続投と言われるとファンは簡単には納得しないと思います」(同・広澤氏)

 どんな名監督でも戦力に劣るチームを任されて好成績を残せるはずがない。広澤氏が「阿部監督だけでなく、巨人の編成にも責任がある」と指摘する理由だ。

 では、巨人のフロントは何をしているのか──広澤氏は“2人の人物の死去”が大きな影響を与えているという。

「巨人のオーナーを務め、プロ野球界にも大きな発言力を持っていた渡邉恒雄さんが2024年の12月に亡くなりました。さらに長嶋茂雄さんも今年の6月に亡くなりました。巨人を力強く支えた2人の傑出した人物を失い、巨人のフロントは一種の混乱状態となり、いわゆる『ガバナンスが効いていない状態』に陥っているのではないでしょうか」

“常勝巨人”でプロ野球は盛り上がるのか?

 2軍監督を務めていた桑田真澄氏が退団した際、阿部監督との確執が報じられたのは記憶に新しい。さらに電撃退団したオコエ瑠偉と阿部監督との確執疑惑をデイリー新潮が報じた。巨人のチーム運営が揺らいでいるとの印象を受けたファンは多いだろう。

 とはいえ“常勝巨人”が復活することがプロ野球の発展に寄与するのか、という根本的な疑問が広澤氏にはあるという。

「メジャーリーグの名門チームであるドジャースでさえワールドシリーズ優勝は9回しかなく、連覇は今季が初でした。一方の巨人は22回の日本一に輝き、2連覇どころか1965年から73年にかけては9連覇、つまりV9を達成しました。率直に申し上げて、ちょっと巨人は勝ちすぎてきたと思います。今の阪神が強いと言っても、日本一は2回しかありません。昭和の巨人が異常に強かったわけで、それが是正されるのは決して悪いことではないと思います」

 第1回【ファン感謝祭で阿部監督に「お前がやめろ!」とヤジが飛ぶ巨人の異常事態…背景には2025年に巨人ファンを動揺させた「2つの衝撃的なニュース」】では、巨人のファン感謝デー「ジャイアンツ・ファンフェスタ」で阿部監督に観客から批判のヤジが飛んだ背景など、阿部監督に批判が集中する原因について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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