後輩思いのあらわれ? 「阪神・近本」ロングラン交渉の本当の狙い 「残留は早い段階から決まっていた」

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不動のリードオフマン

 8月に取得条件を満たした国内フリーエージェント(FA)権を行使するか否か、ファンならずともその動向が注目されていた阪神の近本光司外野手(31)。権利行使の申請デッドラインにあたる11日の夕方、「行使せず残留」の結論に至った。「ギリギリまで交渉を行った」とされる背景には、実は後輩たちへの思いも含めた深謀遠慮があったという。

 それは一体、どういうものか――。

 近本は兵庫・淡路島で生まれ。社高校、関西学院大、大阪ガスを経て2018年にドラフト1位で阪神に入団した。1年目の19年から今季まで7年連続で規定打席に到達。今季は打率.279、3本塁打、34打点、そして32盗塁で4年連続6度目の盗塁王を獲得した。

 今季、長嶋茂雄以来史上2人目となる新人から7年連続130安打を達成。入団7年で重ねた安打は1093本、ゴールデングラブ賞は5回受賞。不動のリードオフマン、シンボルとして阪神にとってまさに「替えのきかない選手」だ。

5年契約は球団4人目で最長年数

 近本は日本シリーズ終了直後、「しっかり自分の意思で残りの野球人生を主体的に決めていきたい」と話したが、それ以降、沈黙を貫いた。FA申請締め切り前日の10日、西宮市内の球団施設に姿を見せたが、ここでも語らず。そして11日、球団との話し合いは10時間に及んだ。この間、ファンのもどかしい思いを代弁するように「近本残留」がXのトレンド入りするなど、関心の高さがうかがえた。

 結果、近本はFA宣言せず残留。条件面では出来高払い込みの5年総額25億円でまとまったという。

 5年契約は球団4人目で最長年数。最大限の誠意を示したということになる。具体的には2001年オフに日本ハムからFAで獲得した片岡篤史に5年12億円、14年オフにFA宣言して残留した鳥谷敬は5年20億円、24年オフにこちらもFA宣言残留の大山悠輔は5年17億円。

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