放送終了から45年「西遊記」特撮の舞台裏 觔斗雲は手のひらサイズ、百羽超のカラスは鉛仕込み…如意棒は家で布団叩きに

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喋れなかった中国ロケと自宅にあった如意棒

 最初のシリーズが1979年4月に終了し、Ⅱは同年11月から放送を開始したが、その間に鈴木らは1週間ほど中国ロケを行い、万里の長城など各地の風景を撮れるだけ撮影した。最初のシリーズでは絵で描かれた遠景をドラマ部分の撮影分と合成するなどしていたが、Ⅱではこの時のロケで撮影したものを使用した。

「中国では、外務省の人が撮影のコーディネートをしてくれたわけですが、撮影チームのわれわれ3人とは、食事や泊まるホテルなどもいつも別。一緒にいるときは、めったなことは喋れなかったですね(苦笑)」

 当時、まだ小学校に入りたてだった長男を撮影現場に連れて行ったことがあった。美術部屋では、置いてあった如意棒をスタッフからもらったという。ゴダイゴのシングルEP「ガンダーラ」のジャケットで、孫悟空に扮したドラムのトミー・スナイダーが手に持っているのが、その如意棒だ。

「私は持って帰ったのを知らなくて。家では妻が布団叩きに使っていましたね(苦笑)。2024年に当時の関係者が自宅に西遊記関連のグッズを見に来たことがあったんですが、息子が『これもあるよ』と出してきたんです。もう50年も近く前のものをずっと大事に取ってあったんですね(笑)」

お釈迦様の高峰三枝子が「セリフ変えたいんだけど」

 鈴木は本編にはほぼ関わっていないが、高峰三枝子が演じたお釈迦様は雲海の中にいる設定だったため、特撮で撮ることがあった。高峰から、ある提案を持ち掛けられたことがあったという。

「『監督さん、監督さん』と呼び止められましてね。雲海にいるお釈迦様だからというわけじゃないですが、まさに雲の上の存在の女優さんでしょう? そんな女優さんが『ここのセリフを変えたいんだけど』とおっしゃるわけです。ただ僕はセリフをいじれる立場にない。かと言ってダメですとも言えないので『お好きにやってください』と答えたわけです。そうしたら撮影前に、本編の福田純監督がやってきて『変えないでそのままやってください』と。あのドラマは悟空と八戒と悟浄の3人がアドリブでやり取りするのが楽しくて、その面白さが出ていたと思いますけど、お釈迦様だからこそ変えなかったんでしょうね」

「西遊記」の人気は日本にとどまらず、英国のBBCが英語版吹替で放送し、高い人気をえた。1990年にオーストラリアで「ウルトラマングレート」の製作を行っていた際に、鈴木は海外人気を目の当たりにしたという。

「ある日、借りていたアパートに帰ったら、テレビから聞き覚えのある曲が流れてきたんです。西遊記でした。吹き替えも悟空の堺さんや三蔵の夏目さんの声に近い声優さんがあてていたようで、また違う魅力がありましたね。後日、美容室に髪を切りに行くと『あのドラマは鈴木さんがやったんでしょ』と話しかけられ、誇りに思いましたね」

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 第2回【「モンキー・マジック」の“アチャー!”はイタズラだった…エンジニア激怒もミッキー吉野は大絶賛 ドラマ「西遊記」音楽秘話】では、特撮と同様に、「西遊記」において大きな役割を果たした音楽について。ゴダイゴのトミー・スナイダー、スティーヴ・フォックスが当時の思い出などを振り返る。

デイリー新潮編集部

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