秋田県でクマが市街地に出没の“緊急事態” 飲食店は営業自粛も「クマを駆除すると役所にクレーム電話が殺到」で職員が疲弊

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適正な頭数に管理すべき

――佐竹敬久前知事が抗議電話に対して「お前のところにクマ送る」と、強いメッセージを発信したのは印象深かったです。現在も、ネットでは話題になっています。

住谷:私は、佐竹前知事のメッセージは意義があったと思うのですが、それでも県庁には抗議の電話がくるようで、現場の職員が疲弊しています。今回、鈴木知事が自衛隊に要請を出したのも、現場の疲弊が深刻なためでもあります。

 確かに、クマにはかわいいというイメージがあります。しかしながら、実際に被害を受けた方の話を聞いたり、傷跡を見ると、本当に悲惨だと思いますし、自然の怖さを実感します。クレームの電話をする方は、こうした被害が出ている現実を受け止めてほしいと思います。

――クマとの共存、共生に向けてどうするべきなのでしょうか。

住谷:里山、いわゆる中山間地域の人口が減少して荒れ地になり、手入れが行き届かなくなっていることも、クマの生息域が拡大している原因といわれます。そういったところに手を入れながら、人間とクマの生息域の境界や、緩衝地帯を作るべきだと思います。

 そもそもクマの頭数が増えすぎているといわれます。今年はカメラトラップを使って頭数を把握するといいますが、2020年に調査したときには、全県で2800~6000頭くらいだろうと考えられていました。現在は確実にそれ以上いるはずなので、今後、適正な頭数に管理していかないといけないと思いますね。

――ありがとうございます。私も秋田県出身ですが、クマだけでなく、良いところがたくさんあるので、観光にはいらしてほしいですね。

住谷:おっしゃるとおりで、秋田県はいいところです。自然や食べ物、伝統芸能など素晴らしい文化があるので、ぜひとも旅行にいらしてほしいと願っています。

 第1回【「クマ除けスプレーにも怯むことなく襲い掛かってきた」…秋田県では過去最悪の「死者2人」 地元県議が明かす「クマによる人身被害」の息を呑む実態】では、クマによる被害が多発する秋田県の現状について、地元でクマ対策に携わる秋田県議会議員の住谷達氏に話を伺っている。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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