「神経質かつ内気な彼にはうってつけ」 佐々木朗希の“ガラスのエース”を支えた「意外な人物」とは

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 大方の予想を覆し、何とかポストシーズンでの登板が間に合った、ドジャースの佐々木朗希投手(23)。以前は“ガラスのエース”と呼ばれ、線の細さを指摘されていたが、今や自信に満ちた表情でマウンドに立つ。そんな彼を支えたのは“異色の経歴”を誇る、若きコーチだった。

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メンタルのケアが得意

 佐々木は現地時間の10月4日、フィリーズとの地区シリーズ第1戦で、クローザーとして登板。2点リードしていた9回を守り切り、日米通して初のセーブを記録した。

「ポストシーズンでの2戦目となったこの試合で、ついにチームメイトからの信頼を獲得しました。優勝候補といわれるフィリーズ相手に、難しい場面を抑えましたからね。佐々木自身も最後の打者を打ち取った際、雄叫びを上げて喜びを爆発させた。以前のおとなしかった彼では、考えられないことです。160キロ超の速球も見事でしたが、フォークボールのキレの鋭さが際立っていました」(メジャー担当記者)

 続く地区シリーズ第2戦も1点差の場面で登板。ナ・リーグ首位打者を抑え、勝利をもたらした。

 入団後、開幕から2カ月足らずで右肩を痛め、故障者リスト入りしていた佐々木。ここにきて、まさかの復活となった背景には、

「投手コーチ、ロブ・ヒル氏の存在がありました」

 と、MLBアナリストの友成那智氏は語る。

「ピッチングディレクターという肩書のヒル氏はモーションキャプチャーを用いて、投球フォームを解析します。最先端の指導法に定評があるだけでなく、大学でコミュニケーション学も修め、人付き合いにも長けているといいます。友だちのように、優しくフランクに助言を授けるのだとか。メンタルのケアも得意で、神経質かつ内気な佐々木にはうってつけだったことでしょう」(同)

 ヒル氏は、佐々木が入団した当初から共に練習を行い、マイナーでの調整期間中も手厚いサポートを続けたという。

「先発を担うにはまだ課題が」

 メジャーを代表する強豪のドジャースが、ヒル氏を招聘(しょうへい)したのは2019年。当時、彼は24歳の若者だったが、すでに球界ではよく知られていたそうだ。

「シアトルの著名なトレーニング施設『ドライブライン』で、後に横浜DeNAベイスターズでプレーするトレバー・バウアー(34)やドジャースのクレイトン・カーショー(37)など、一流選手を担当していました。経験が重視されるトレーナー界において、ヒル氏は若くして頭角を現した異色の人物なのです」(在米スポーツジャーナリスト)

 コーチを始めたきっかけは、大学で投手だった時のこと。度重なるけがに泣かされ、トレーニングやリハビリを受けるため、ドライブラインの門をたたいたという。

「科学技術を駆使した手法に感銘を受け、学生時代から研究を重ねたそうです。大学を卒業した18年、プロのコーチとなるべく同施設に就職。“クレイジーだと思うほど努力をした”と語っていますが、すぐさま顧客が殺到するようになったといいます」(同)

 さて、再生を遂げた佐々木は今後、本来の先発投手としての活躍が期待される。ブレーブスでプレーした川上憲伸氏によれば、

「先発ピッチャーは長いイニングの中で、状況に応じて力の出し具合を調整する必要があります。今季序盤、先発を担っていた時の佐々木は、これができていなかったように見えました。クローザーとしての登板で、投球そのものは、一流選手相手にも通用することが分かりました。しかし来季、先発を担うにはまだ課題が残っているといえるでしょう」

 目下の勢いのまま、覚醒することができるか。

週刊新潮 2025年10月16日号掲載

ワイド特集「秋うらら」より

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