広陵の“いじめ問題”が泥沼化 現場から聞こえた声は…「過保護や過干渉な親が増え、保護者同士の揉め事が多い」と甲子園出場監督が嘆く

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他山の石として

 指導者と保護者それぞれに言い分はあり、どちらか一方が正しいというとは限らないと思われるが、その背景には高校野球の影響力の大きさがあるのではないだろうか。

 他の部活動と比べても、高校野球に対する注目度は格段に高く、野球部の成績によって学校の知名度が向上することも少なくない。そうなると、どうしても大会での成績が最優先されてしまい、行き過ぎた指導や生徒の勧誘、問題の隠ぺいに繋がるのではないか。また、現在のルールでは、生徒の都合で高校を転校した場合、1年間は公式戦に出場することができない。それが、転校の足かせになっていると言われている。

 広陵の出場辞退を受けて日本高野連が開いた会見では、各学校からの問題報告は年間1000件以上に達するとしており、今回の問題は氷山の一角に過ぎない。同じような不幸を繰り返さないためにも、高校野球にかかわるすべての関係者が、広陵の問題を他山の石としてあらゆる面で改革を進めていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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