Perfume、人気の理由 「広島のローカルアイドル」から時代を象徴する「文化的アイコン」に

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「ライブアーティスト」に

 最初は広島のローカルアイドルだった彼女たちも、パフォーマンスがどんどん洗練されていき、既存のアイドルの枠には収まらない存在に成長していった。単なるアイドルファンを超えた幅広い層を巻き込み、「ライブアーティスト」として確固たる地位を築いた。

 第三に、メンバーの人柄と関係性の強さが挙げられる。3人は芸能スクール時代からの長い付き合いであり、芸能界に入ってからも互いを支え合いながら活動を続けてきた。その仲の良さや絆はステージやメディア露出の場でも感じ取ることができ、ファンに安心感を与えた。ファッションもライブの演出も音楽性も極限まで洗練された近未来感を漂わせている一方で、本人たちは飾らない純朴なキャラクターを見せていて、そのギャップも魅力的だった。

 スキャンダルや不仲説が流れることもなく、誠実で真摯な姿勢を保ち続けた。「3人合わせてPerfume」というスタンスを守り通し、誰かが突出することもなく対等に活動したからこそ、長期的に安定した人気を維持できた。

 第四に、メディア戦略の巧みさがある。Perfumeはほかの女性アイドルのようにバラエティ番組などに積極的に出演することはなかった。その代わり、音楽番組や特別番組、ドキュメンタリーなど、彼女たちの音楽的価値を伝える場面を中心に露出を重ねた。必要以上に消費されることを避けつつ、定期的に大きな話題を提供することで、ファンにとって特別な存在であり続けた。この過不足のない露出のバランスが、彼女たちの鮮度を保ち続けた重要な要素である。

 このように見ていくと、Perfumeが長年にわたって人気を保ち続けた理由は、音楽性の進化、ライブ演出の革新性、メンバーの人柄と関係性、メディア戦略の巧みさ、そして唯一無二の存在感にあることがわかる。

 活動休止の発表は寂しいニュースではあるが、あくまでも「コールドスリープ」であり、メンバー全員が活動を再開することに含みを残している。Perfumeは単なるアイドルやアーティストではなく、1つの時代を象徴する文化的アイコンだった。彼女たちの残した功績はこれからも長く語り継がれていくに違いない。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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