中田翔が18年間の現役生活に幕 “現役最晩年”を中日で終えたスター選手列伝
中日・中田翔が9月19日のヤクルト戦で引退試合を行い、18年間の現役生活に別れを告げた。日本ハム時代は不動の4番打者として通算261本塁打、950打点を記録も、中日での2年間は通算6本塁打に終わった。中田に限らず、かつてのスター選手が年齢的にピークを過ぎた後、現役最晩年を中日で終えた例は意外と多い。【久保田龍雄/ライター】
【写真】9月23日のヤクルト戦を快勝に導いた中日ドラゴンズの選手たち
このままでは終われない
西武時代の2008年に3番打者としてチームの日本一に貢献した中島宏之も、NPBの最終所属球団は中日だった。
西武時代の2008、09年に最高出塁率、09年に最多安打を記録した中島はその後、アスレチックス傘下、オリックス、巨人でプレーし、巨人を戦力外になった2023年オフに中日へ。「また勝負できるということで、ワクワクするというか、プレーできる喜びが大きい」と現役を続けられる喜びを語った。
だが、代打の切り札として開幕を迎えた翌24年は、4月13日の阪神戦で右手首に死球を受け、登録抹消。1軍再昇格後も、出場15試合で13打数無安打、打率.000でシーズンを終え、自由契約となった。
シーズン後はあと72本に迫った通算2000安打を目標にトレーニングを続けたが、移籍先が決まらないまま、今年3月27日、自身のインスタグラムで「バットを置きます」と投稿し、現役引退を発表。その後、現役復帰し、アラブ首長国連邦のミッドイースト・ファルコンズに選手として登録された。
日本ハム時代に首位打者を2度獲得し、本塁打王、打点王にも輝いた小笠原道大も、巨人を事実上戦力外になった後、中日で2年間プレーした。
2007年に巨人にFA移籍した小笠原は、1年目に前年の日本ハム時代に続いてセ・パ両リーグでMVPに輝くなど、主に3番打者として4年連続30本塁打以上を記録。3度のリーグVと09年の日本一に貢献した。
だが、11年以降は故障や不調に苦しみ、年々出場機会が減少した。出場22試合に終わった13年オフに構想外となると、「このままでは終われない」とFA宣言し、唯一獲得の意思を表明した中日に移籍した。
翌14年は代打の切り札として代打6打数連続安打（歴代3位）・代打9打席連続出塁（同2位）を記録するなど、81試合で打率.301、1本塁打、18打点とまずまずの結果を出した。
2年目も代打中心の起用で7月まで打率3割以上をマークしたが、同29日の阪神戦で左飛を打ち上げた際に左太もも痛を発症したことが、引退の引き金となる。
8月15日のウエスタン、阪神戦で実戦復帰も、「しっかり走れないとか、思い切ったプレーができない。自分のイメージと現実とのギャップが出てきた」とついに引退を決意した。
引退試合となった9月21日の古巣・巨人戦では、4回2死一、二塁、ショートへの打球を全力疾走で内野安打にし、通算2120本目（歴代31位）を記録。「（プロ）初安打も内野安打で、最後も内野安打で自分らしいと思います。やれることはすべてやり切った」と完全燃焼し、悔いはなかった。
試合のポイントとなる場面で起用してくれた
引退セレモニーまで行いながら、直後に引退撤回、中日で3年間名脇役に徹したのが、犠打世界記録を達成した川相昌弘である。
巨人時代の2003年8月20日の横浜戦、世界新記録となる通算512個目の犠打を決めた川相は、同年9月14日のヤクルト戦の試合後、引退セレモニーを行い、1軍守備走塁コーチのポストも約束されていた。
ところが、原辰徳監督の電撃辞任により、新体制人事のゴタゴタで、2軍コーチに話が変わったことに納得できず、一転現役続行を宣言。落合博満監督が就任したばかりの中日にテスト入団した。
川相の“一芸”を高く評価した落合監督は、試合ではスーパーサブとしての役割を求める一方、若手に経験を伝える指南役としても重用。「あとはジイ（愛称）に聞け」と一任した。
翌04年4月4日の広島戦、延長11回無死一塁、代打として移籍後初出場をはたした川相は、通算515個目の送りバントを決め、立浪和義のサヨナラ打につなげた。
さらに6月23日の巨人戦で移籍後初安打、翌24日の同一カードで移籍後初本塁打を記録し、スタンドの巨人ファンからも大拍手を浴びた。
巨人時代の21年間でサヨナラ打は2回だけだった川相だが、同年は8月1日のヤクルト戦、9月10日の広島戦と1シーズンで2度記録。「（落合監督が）上手に私を残しておいて、試合のポイントとなる場面で起用してくれた」（自著『明日への送りバント』KKロングセラーズ）と回想している。2006年の日本シリーズを最後に現役引退。通算犠打数を「533」まで伸ばした。
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