「25%」から「15%」に…やっぱり「タコ」だった「トランプ関税」 “見返り”に日本が渡したもの

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米財政収支が急回復

 “TACO”に振り回される世界経済。とはいえトランプ流交渉術には意外な効果も。ほとんど注目されていないが、トランプ大統領の相互関税の発動で米財政収支が急回復しているのだ。

「米財務省が5月に発表した4月の財政収支は、前年同月に比べ23%増の2580億ドルと良好な記録となりました。これは4月に中国からの輸入品に対する関税率を145%、その他の国と地域に10%の基本税率を課した結果です。

 5月は赤字となりましたが、前年同月比9%減の3160億ドルと赤字幅が縮小し、6月は270億ドルの黒字。トランプ大統領の関税発動で関税の総収入が過去最高クラスを記録していることが黒字化の理由です」(前出の証券アナリスト)。

 アメリカの財政赤字は、高齢化による社会保障費や金利上昇に伴う国債の利払い費の増加などにより慢性化していた。特に今後30年間で財政赤字と公的債務が著しく増加すると警鐘が鳴らされている。その慢性赤字が関税発動によって通年でも黒字化するとしたら劇的な変化だ。トランプ大統領を“TACO”呼ばわりして侮るのは一面的かもしれない。

「アメリカに輸入される日本製品に25%の関税を課す措置をめぐって、日米では意見の衝突がありました。もし8月1日に発動されれば、強烈な打撃を受ける懸念があったため、日本政府は合意を急いだのでしょう。日本車が米産業を衰退させた張本人だとするトランプ大統領の姿勢は変わらない。日本側としては関税率を下げるために大幅な妥協を余儀なくされたわけです」(同)

 大方の予想を裏切って成功をみせたかのような関税効果。自身の政策に自信を持つトランプ大統領が、さらに強気に出る事態も予想できる。ただ、アメリカ経済も今後、混乱に陥るとの見方は多い。

「米労働省が毎月発表する雇用統計はそれほど悪化していないのに、SNSでは失業者の悲鳴や再就職できない若者の怒りの映像が大量にアップされています。これらは米国の雇用環境の急激な悪化と雇用統計への疑義を示しており、だからこそトランプ大統領はFRBのパウエル議長に利下げ圧力をかけているのです。

 しかし、関税発動による物価の上昇が避けられない中で、利下げを実施するとインフレが激化する恐れが強い。そうなると米株価と米ドルは急落し世界中の株価も暴落するでしょう。もっとも、米ドル急落で円高になれば輸入物価が安くなり日本の庶民の生活にはメリットが出てくるかもしれません」(前出の経済部記者)

 世界経済の行方には波乱が待っていそうだ。

デイリー新潮編集部

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