ウクライナに“真夏の大攻勢”も「5月以降に3万1000人のロシア兵が戦死」…常に数的優位に立つロシア軍が“キーウを制圧できない”決定的な理由

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ロシア軍の弱体化

 ロシア軍は北朝鮮から大量の兵器や弾薬の供与を受けていることが明らかになっている。北朝鮮の自走砲や榴弾砲、ロケット砲などが戦場で確認されているほか、韓国の国防情報本部は国会議員への説明資料で「北朝鮮はロシアに1200万発の砲弾を供与している」と報告した。

「どう考えても、ロシア軍の“活動限界点”は間近に迫っているのではないでしょうか。まずウクライナ軍のミサイル攻撃で、ロシア海軍の黒海艦隊は甚大な被害を受けました。さらに6月にはウクライナ軍ではなく、KGBの流れを組む情報機関・ウクライナ保安庁が特殊作戦『蜘蛛の巣作戦』を敢行。ロシア国内に運送会社を設立することから始めるという長期的な作戦で、設立した運送会社のトラックからドローンを飛ばして空軍基地を奇襲攻撃。戦略爆撃機や早期警戒機の撃破に成功しました。これでロシア空軍も相当な被害を受けたと考えられますし、加えて今回の大攻勢でも陸軍に多数の戦死者が出ました。ロシア軍は弱体化していると考えて間違いないと思います」(同・軍事ジャーナリスト)

ロシアの威信低下

 軍事ジャーナリストは「時期までは予測できませんが、トランプ大統領の斡旋でウクライナとロシアの停戦交渉が始まるのは確実でしょう」と言う。

「2022年2月、首都キーウでロシア軍の急襲を受けましたが、ウクライナ軍は撃退に成功しました。これに勢いを得たウクライナ政府はクリミア半島の奪還を掲げましたが、反攻作戦は失敗に終わっています。確かにウクライナ全土を取り戻すことはできませんでしたが、首都キーウは守り抜いたので敗戦ではありません。一方のロシアはウクライナ全土の制圧を狙って“特別軍事作戦”に踏み切りました。侵攻時は欧米各国がゼレンスキー大統領に亡命を勧めたほどロシア軍の圧勝が予想されていました。ところがロシア軍はキーウの制圧に失敗したのです。こちらの場合は敗戦と評価されても仕方ないでしょう。ロシア国内に限れば“反プーチン”勢力は少数派ですから、プーチン大統領の独裁政権は維持されるのかもしれません。しかし国際社会におけるロシアの威信低下は避けられないでしょう。それこそ中国や北朝鮮に頭の上がらない国になっても不思議ではないのです」(同・軍事ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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