ASKA、松山千春ら「ご本人」の前でカバー曲披露… 異色のライブを続ける長江健次のリスペクトと覚悟

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オリジナルのほうが楽

 アーティスト本人と交流しながらカバーライブをすることを、長江自身はどう捉えているのか。

「極論を言えば、自分のオリジナル曲を歌うほうが楽ですよ。どう歌ってどうミスしても俺の曲やから。でも『CAFE』を始めた頃は、自分のオリジナルは『ハイスクールララバイ』や初期のアイドルっぽい曲しかなくて、こっ恥ずかしかったんです。それでカバー曲をするようになって、カバーアルバムも出した。今もカバーをやるときは『俺の曲』と思ってやるようにしてます。本人が歌うほうがいいに決まってるから、勝てない。一方でカバーをやるからには絶対的なリスペクトが必要で、やるなら逃げんとこう、と思ってます。バンドメンバーには『音源聴いて基本に忠実にやってくれ』と言うてます。それには自分もちゃんとしなきゃいけないしね。キンモクセイからは『ここまで歌ってくれると思わなかった』といわれました。ボーカルの伊藤俊吾のキーが高いので、原曲のキーで歌うとは思ってなかったようです」。

イモ欽のプロデュース

 一度は離れた音楽に再びどっぷりと浸かる過程では、かつて一世を風靡した「イモ欽トリオ」も復活した。そのプロデュースを引き受けている。

「『CAFE』の1回目に山口良一さんが出てくれたことはあったんですが、3人がそろったのは4回目のとき。2022年にツアーをした際にギャラやスケジュールの管理を僕がしたことで、お二人の事務所から信頼してもらい、以降は僕に任せてもらってます。今年は山口さんが古希ということで、全国ツアーもしました。『CAFE』で自ら動いてきた経験が生きています」

 2026年には「イモ欽トリオ」のデビュー45周年記念ツアーが控えている。

「もともと15曲ぐらいしか曲を持ってないグループですが、今年3月には4曲入りのEP『SNACK KYOKO』も発売しました」

 全国を訪れ、ファンが喜び、涙する姿を見るたび、「こんなに喜んでくれるんや」と思いを新たにするという。曲の振り付けなどを再現しつつ、当時は全国を回れなかったため「元気なうちに行ける所へ行こう」と3人で確認しあった。山口は「恩返しできてええやん、健次」と喜んでいるという。

「今はものすごく心地いいポジションにいさせてもろてると思う。お客さんを喜ばす術は誰にも負けないとも思ってるし。FM世田谷で、毎週4時間喋る番組(『金パラ~長江健次のDARADAラジオ』)も11年目。ギャラ貰いながらしゃべる訓練させてもらってます(笑)。ラジオきっかけで僕を知ってくれてライブに来てくれる人もいます」

 デビュー前からやりたかった音楽の世界に戻ってきた長江は、満ち足りた表情を見せる。力いっぱい、体いっぱい、心いっぱい、オリジナルを、カバーを歌い続ける姿が今後も見られそうだ。

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 第1回【ずっと歌手をやりたかった「フツオ」 “たいして歌も上手くなく…”諦めかけた長江健次の背中を押した言葉】では、芸能界入りを目指し、「欽ドン!」のオーディションに受かった経緯や、自身の音楽観などについて語っている。 

デイリー新潮編集部

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