二宮和也、山田涼介も「毒舌キャラ」だけど… ラウールのお天気キャスターへの「ありきたりな食レポ」発言が炎上した理由
バラエティーの仕切りから俳優としての実績へ 歴代「毒舌」ジャニーズの信頼の作り方の変化
毒舌は、かつて「キャラの立て方」の一つだった。とりわけアイドルにとって、バラエティーでの鋭いコメントは「アイドルらしからぬ一面」として重宝されてきたといえるだろう。
例えば元SMAPの中居正広さん、元TOKIOの国分太一さん。いずれも「司会ができるジャニーズ」として、長年テレビの最前線に立ち続けてきた。彼らは、バラエティー、音楽、スポーツ、報道といったジャンルを横断しながら、共演者との軽妙な掛け合いと絶妙な回しで番組を仕切っていたものだ。その核にあったのは、相手への鋭いツッコミと、時に毒舌すれすれのコメント力である。アイドルという本来「イジられる側」の立場にありながら、「仕切れる」「笑いが分かっている」という望外の能力が、彼らを特別な存在に押し上げた。
しかし2020年代に入り、彼らのキャリアは思わぬかたちでつまずくことになる。中居さんも国分さんも、テレビ局でのコンプライアンス違反が問題視された。「仕切れる」から築いてきた信頼の「貯金」は、慢心があらわになったことで一気に「残高」がゼロになった。
そもそも、創業者の性加害問題により、旧ジャニーズのアイドルたちには厳しい目が向けられ、他者へのイジリなどの炎上リスクはなるべく減らしたいというのが本音だろう。だから中居さんや国分さんの後輩世代ほど、バラエティーでの「仕切り」ではなく、バラエティー外の場での実績を積むという「信頼貯金」を意識していたのではないだろうか。
歯に衣着せぬ発言で知られる旧ジャニーズタレントといえば、嵐の二宮和也さんが代表格だ。トークバラエティーでも飾らず毒を吐くものの、MCとしての仕切りというより緻密な演技力と共演者への敬意、時折見せる照れ笑いといった人間味で視聴者からの信頼を維持してきた。
Hey! Say! JUMPの山田涼介さんも、「ドSキャラ」や「塩対応」が話題になる一方で、サービス精神のある切り返しや、意外と礼儀正しい受け答えによって絶妙なバランスを保ってきた。「俺はそういうキャラなんで」という開き直りではなく、「辛口でも許される空気」を自らの言動で作り上げてきたといえるのではないだろうか。だから多少の毒舌も愛嬌として受け止められやすく、「よにのチャンネル」などで和気あいあいと互いにツッコみ合う様子も好意的に受け止められてきた。
では、ラウールさんはなぜそうならなかったのか。
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