藤浪晋太郎らを緊急補強してもダメ!? DeNAが抱える“本当の大問題”

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 昨年は、レギュラーシーズン3位ながら26年ぶりの日本一に輝いたDeNA。オフには2020年にメジャーでサイ・ヤング賞を獲得したバウアーが2年ぶりに復帰し、1998年以来となるリーグ優勝への期待も高かったが、首位の阪神に大差をつけられて、リーグ優勝は厳しい状況となっている。また、下位の広島や中日とのゲーム差はそれほど開いておらず、Aクラス入りも決して安泰とは言えない。【西尾典文/野球ライター】

試合終盤の失点がかさむ可能性

 今年のDeNAが勝ち切れない要因はどこにあるか。大きな誤算は、主力打者であるオースティンの長期離脱だ。

 昨年は、来日5年目で初めて規定打席に到達し、打率.316で首位打者に輝くなど見事な活躍を見せたが、今年は開幕直後に下半身のコンディション不良で登録抹消された。5月には一度復帰するも、状態は上がらず、6月には再び二軍調整となり、チームを牽引する活躍は全くできていない。

 DeNA は6月27日から29日の巨人との3連戦で3試合連続の完封負けを喫している。これは、オースティンの不在により、昨年に比べて得点力が落ちているチーム状況が如実に現れた格好だ。

 一方の投手陣も不安定である。冒頭でも触れたバウアーはチームトップのイニング数を記録するものの、黒星が先行している。東克樹やジャクソン、ケイが安定しているところは救いだが、5番目以降の先発は、かなり手薄な印象は否めない。

 それ以上に厳しいのが、リリーフ陣だ。昨年まで抑えを務めていた森原康平、かつて絶対的なクローザーだった山崎康晃が揃って調子が上がらず、二軍暮らしが続いた。

 実績がある伊勢大夢と、来日2年目のウィックは安定した投球を見せている一方で、それ以外の中継ぎ陣は打ち込まれることも多く、チームホールド数はセ・リーグで最も少ない。

 森原に代わって抑えを任せられていた入江大生は、7月11日の巨人戦で右上腕の違和感を訴えて緊急降板。翌日に一軍登録が抹消された。夏場に向けて、試合終盤の失点がかさむ可能性が高くなりそうだ。

「即戦力候補」の苦戦

 こうした現状を打破すべく、ここへ来てフロント陣が“緊急補強”に動いている。

 7月8日には、昨年までプレーしていた内野手のフォードの獲得を発表したほか、昨年まで中日でNPB通算1012安打を放ち、今年はメキシコでプレーしていた、内野手のビシエドの獲得調査も報道されている。

 それに加えて、7月15日には、マリナーズ傘下3Aタコマを自由契約となった、元阪神のエース、藤浪晋太郎を獲得すると発表した。7月末までの補強期限直前で、ここまで動いている球団はDeNAだけであり、何とか後半戦に巻き返そうという意欲が見られる。

 しかしながら、今回の補強は、プラスの面ばかりではない部分もあるようだ。他球団の編成担当者はこう話す。

「フォードはクライマックス・シリーズでは活躍しましたが、レギュラーシーズンでは二軍でも打率が低く、コンタクト力にはかなり難があります。一軍で安定して打てる可能性は高くないでしょう。ビシエドも実績はあるものの、力が落ちていることは否めません。外国人枠の問題もあって、野手は一軍で常時プレーできるのは1人だけということを考えると、オースティンが復帰したら、日本人扱いになるビシエドはともかく、フォードの出番はかなり限られる。あまり有効な補強には見えませんね」

 加えて、藤浪については、以下のように分析している。

「メジャーでプレーしている日本人選手を積極的に調査しているソフトバンクが、藤浪獲得に動かなかったことを見ても、現在の状態には疑問が残ります。昨年、米国から帰ってきた元主砲の筒香嘉智も戦力になっていないですし……。それならば、全く新しい外国人やトレードに動いた方が良かったのではないでしょうか」

 そして、緊急補強の背景には、近年のドラフトで指名した「即戦力候補」の多くが、プロの世界で苦戦していることがある。

 過去10年のドラフトを振り返ると、今永昇太(2015年1位、現・カブス)はエース格となりメジャーへ移籍し、東(2017年1位)と入江(2020年1位)、牧秀悟(2020年2位)は主力に成長したが、それ以外にチームの中心になった選手は見当たらない。

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