「7月に大災害」予言本が106万部突破!? 約9億円を生み出した“予知夢”について出版社に聞いてみると
飛行機が運休に
寝ている間に見た夢のことを書いただけでバカ売れしているのが『私が見た未来 完全版』(たつき諒著、飛鳥新社)だ。売れ行きは7月7日時点で106万部(電子版含む)。ざっくり計算して合計9億円が出版社と著者の懐に転がり込んだことになる。
【実際の画像】「7月に日本列島が大津波に飲み込まれ……」 恐ろしい“予言”のナカミとは?
その内容は「週刊新潮」6月19日号でも紹介しているが、たつき氏が日本とフィリピンの中間あたりの海底がボコンと破裂して、大津波が周辺を襲う夢を見た、とある。時期は2025年7月で、しかも、津波の高さは東日本大震災の3倍にも達するというのだ。
「これに飛びついたのがシンガポール在住のYouTuberで、同著を取り上げた動画の再生数は880万回に達しました」(出版関係者)
こうした動画やSNSの投稿は、主に香港で広がったが、“副作用”も深刻である。6月18日の日本政府観光局の発表によると、5月の香港からの訪日外客数は前年同月比でなんとマイナス11.2%。とばっちりは香港から直行便が飛んでいる地域にも及んでおり、例えばLCCのグレーターベイ航空は9月からの香港―米子便を運休にすると発表。乗客の激減で採算が取れなくなったのだ。
「鳥取には砂丘や名探偵コナンゆかりの場所があって外国人観光客にも人気なのですが、香港からのお客さんは4割ほど減っています」(鳥取県庁国際観光課)
鳥取砂丘にある「鳥取砂丘 砂の美術館」も、
「正確にカウントしているわけではありませんが、やっぱり香港からのお客さんは少ないですね」
気象庁幹部は「デマ」と否定
いまや、インバウンドにも深刻な打撃を与えるベストセラーなのだが、たつき氏が問題の夢を見たのは4年前の7月5日。なぜか6月下旬から鹿児島県のトカラ列島で群発地震が発生しているのはご存じの通りだ。気象庁の幹部が、
「いつ・どこで・どの規模かの三つを特定するのが予知の条件だが、今の科学技術では地震予知はできない。現在広がっているものはデマだ」
と否定したものの、SNSでは、たつき氏の“予知夢ではないか”と盛り上がっている。そこで、飛鳥新社に聞くと、
「同書籍は、著者が見た『夢』に基づく内容であり、決して皆様にいたずらに不安をあおることを意図しているものではありませんが、災害などの事象に関しては、専門家のアドバイスなどを踏まえて、慎重かつ適切に対応することが重要であると考えております」(お客様係)
まあ、そう答えるしかないか。