独走「阪神」を止めるのは「藤浪晋太郎」か? 電撃加入「DeNA」での復活のために「やめるべきこと」
あの男が帰ってくる……
マリナーズ傘下の3Aタコマ・レイニアーズから自由契約になっていた藤浪晋太郎(31)が3年ぶりに日本球界に復帰する。オールスターゲームの前日会見の会場にいた代理人のスコット・ボラス氏(72)が日米両メディアの取材要請に応じ、
「FUJI(藤浪)なら、君たちが知っている通りに決まった」
と語り、「交渉中」と伝えられていた横浜DeNAベイスターズ入りを認めたのだ。
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「ボラス氏がDeNA側との交渉に当たったと聞いています。シーズン途中なので大きな契約(金額)にはならなかったはず。当初、ボラス氏はマリナーズ以外のMLB球団に藤浪の売り込みをしていました。でも、FUJIが戦力外となったのは6月。7月13日(現地時間)のドラフト会議に向けてどの球団も忙しくしていました。6月、ボラス氏はFUJIの去就について聞かれると、『彼にフィットする球団を探している』と強気に語っていましたが、ドラフト会議との兼ね合いからMLB球団との交渉は厳しいのではないかと予想されていました」(米国人ライター)
3Aにも28人の出場登録枠がある。見方を変えれば、藤浪はドラフト会議で獲得するルーキーたちの席を空けるため、“整理された”とも解釈できる。しかし、DeNAの期待はかなり大きいようだ。
去る12日、DeNAは今季途中からクローザーに抜てきされた入江大生(26)が「神経障害と診断された」と発表した。前日の巨人戦で登板したが、2球目を投じたところで緊急降板となり、一軍登録も抹消されてしまった。三浦大輔監督(51)の「(再昇格に必要な)10日間では戻ってこられないという判断で抹消しました」という言葉からして、長期離脱ということも考えられる。
「先発には東克樹(29)、ジャクソン(29)、ケイ(30)がいますが、4番手以降がピリッとしません。入江不在となる救援陣を藤浪でカバーできますし、バウアーの調整が長引くようであれば先発で使うことも考えられます」(スポーツ紙記者)
藤浪はDeNAで「復活」できるのか。入江が登録抹消となった12日、萩原龍大統括本部長は「ウチは強みを持っている。武器がある」と語り、AI(人工知能)を使ったプロジェクトチームや最新機器による藤浪の「制球難克服」にも自信を見せていた。藤浪の四球病はメンタル面に原因があるとされており、その通りだとすれば、DeNAの明るい雰囲気は合っているのかもしれない。
「萩原本部長はAIの話や起用法についても語ってくれましたが、この時点ではまだ正式発表がされていませんでした。話の前と後の両方で『あくまでも仮説の話として』と念押ししていました。その様子から、藤浪が欲しいという気持ちが伝わって来ました」(前出・同)
完璧を求めることをやめなかった?
しかし、藤浪を見送った米国側からは悲観的な声も聞かれた。
「マリナーズは投手王国ではなく、投手育成王国です。ピート・ウッドワース投手コーチ(36)は負傷した投手の復活だけでなく、伸び悩んでいる投手も救ってくれました。マイナーも投手育成のプログラムがしっかりしています。FUJIがスプリングキャンプの時より少しでも成長が見られれば残留させ、指導を続けていたはず」(前出・米国人ライター)
4月終了時点での藤浪の防御率は12点台だった。しかし、5月は7試合に登板して、失点は僅か「1」。月間防御率では1.35と好成績を残しており、6月も「解雇」を通達されるまでは4試合に登板し、無失点。「メジャー昇格もあるのではないか」とファンも期待していた。マリナーズは藤浪を解雇した理由を説明していないが、こんな指摘も聞かれた。
「FUJIはローガン・ギルバート(28)を模倣すべきだと、地元ラジオ局『Seattle Sports』が何度も指摘していました。背格好が似ているんです。FUJIの長所はフォーシーム(直球)が速く、変化球も多彩なこと。スライダー、スプリット、カーブ、ツーシーム。その全てで完璧を求めすぎていたように見受けられます。メッツのマイナーにいた昨季、スイーパーを習得しようとし、肘の位置が少し低くなり、フォーシームのキレが悪くなってしまいました。ギルバートが『その他大勢』のなかから抜け出せたのは完璧主義を辞めたからです。FUJIはパーフェクトを求めるのをやめなかった」(前出・同)
よく言えば、藤浪は「自分」を持っている。しかし、結果が伴わなければ“ただの頑固者”だ。もっとも、阪神時代を知る関係者たちは正反対のことを証言している。
「彼は若手時代からダルビッシュ(38)、マエケン(前田健太=37)、菅野智之(35)など他球団のエースにも教えを請い、自主トレで色々なことを学んで来ました。性格は素直で、人の意見にも耳を傾けるタイプです」(NPB関係者)
代理人のボラス氏が言う「彼にフィットする球団」とは、藤浪が目指す投手像と指導内容が合うかどうかの意味も含んでいたようだ。
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