“高額年俸”がドブに消える大ピンチ!ファンから「不良債権」と批判されるベテラン選手の現状は!?

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 レギュラーシーズンの半分以上を消化したプロ野球のペナントレース。優勝争いや個人タイトル争いもこれから佳境を迎えていくことになるが、加えて来季の去就についても気になる時期となってきた。特に注目されるのが高額年俸ながらここまで成績を残すことができていない選手たちである。彼らは、野球ファンから“不良債権”といった非常に不名誉な称号を与えられている例もある。改めて、その現状をまとめてみたい(成績は7月9日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】

厳しい契約更改となる可能性が

 セ・リーグで、まず名前が挙がるのが、中日の中田翔(推定年俸3億円)だ。日本ハムでは3度の打点王に輝くなど長く主砲として活躍したが、2021年シーズン途中にチームメイトへの暴行事件を起こして巨人へ無償トレードで移籍。翌年には24本塁打を放ったが、怪我もあって成績は安定せず、岡本和真のファーストへのコンバートもあって出場機会を求めて2023年オフに自らの意思で自由契約となり、2年契約で中日に入団した。

 しかし、移籍1年目の昨年は開幕戦でいきなりホームランを放つなど開幕当初は得点源として活躍するも、怪我もあってたびたび登録抹消となり、62試合の出場でわずか4本塁打、打率.217という寂しい成績に終わった。

 2年契約最終年の今年はオフに大幅な減量に成功。キャンプでは軽快な動きを見せるなど期待も大きかったが、シーズンが始まってみるとなかなか調子が上がらず、5月13日には腰痛を発症して登録抹消となり、いまだに一軍復帰を果たすことはできていない。中日の球団関係者は、中田の現状についてこう話している。

「ようやく二軍で実戦には復帰しましたが、結果を残すことはできていません。度重なる怪我の影響もあってか、かつてのような豪快な打撃は見られなくなっています。チームもAクラス入りが難しいとなれば、来季以降を考えて若手を優先して使うことになる可能性は高く、相当厳しい状況だと思いますね」

 チームは6月15日に西武から同じ右打ちの内野手、佐藤龍世を金銭トレードで獲得しており、中田の立場はますます苦しくなっていることは確かだ。今年で36歳という年齢と高額年俸を考えても、残留のためには後半戦で相当なインパクトを残す必要がありそうだ。

 セ・リーグでは中田と同学年の巨人・丸佳浩(推定年俸3億2000万円)も正念場を迎えている。広島時代はセ・リーグ三連覇に大きく貢献し、2018年オフにFA(フリー・エージェント)で巨人に移籍した後も4年連続で20本塁打以上を放つなど、活躍した。

 しかしながら、5年契約の最終年となった2023年は不振と怪我もあって大きく成績を落として、オフには大幅年俸ダウンでの2年契約で残留した。

 昨年は2年ぶりに規定打席に到達して力のあるところを見せたが、今年は怪我で出遅れてここまで31試合の出場でわずか1本塁打、9打点という寂しい成績に終わっているのだ。

 それでも出塁率は.355と高い数字を残しており、現在のチーム事情を考えてもいきなり自由契約となることはなさそうだが、後半戦にかなり巻き返しをしなければ、オフに厳しい契約更改となる可能性は高い。

後半戦でのアピールが必要

 パ・リーグでは、ソフトバンクで苦戦している高額年俸選手が目立つ。なかでも、武田翔太は最も苦しい立場に追い込まれている。

 2015年と2016年は二桁勝利をマークするなど、先発で活躍したが、その後は故障もあって低迷した。それでも、2021年オフには若さと翌年のFA権取得を見込んで、4年契約を結んで年俸の大幅アップを勝ち取り、大きな話題となった。

 だが、球団の高い期待とは裏腹に、その後も成績は上向かない。昨年4月にはトミー・ジョン手術を受けて長期離脱。今年6月7日の四軍戦でようやく実戦復帰を果たしたものの、今季中の一軍昇格は難しい状況だ。

 球団としても期待を込めて4年契約を結んだだけに、来季も契約する可能性は高いと見られるが、支配下選手として残留するためには、後半戦で、ある程度投げられるところを見せる必要があるだろう。

 また、同じソフトバンクでは、昨年オフに単年契約を結んだ今宮健太(推定年俸3億円)も怪我で二軍暮らしが続いており、今年で4年契約最終年の又吉克樹(推定年俸1億5000万円)も先発転向に挑戦しながら、結果を残せず一軍昇格を果たせていない。好条件での契約更改のためにも後半戦でのアピールが必要になりそうだ。

 ここまでは今シーズンが契約最終年の選手を取り上げたが、それ以外にも、ソフトバンクのオスナ(推定年俸10億円・4年契約の2年目)を筆頭に、ヤクルトの山田哲人(推定年俸5億円・7年契約の5年目)、楽天の浅村栄斗(推定年俸5億円・4年契約の3年目)、ソフトバンクの柳田悠岐(推定年俸4億7000万円・7年契約の6年目)、DeNAの山崎康晃(推定年俸3億円・6年契約の3年目)、DeNA・筒香嘉智(推定年俸3億円・3年契約の2年目)らは、来年以降の契約が残りながらも、期待通りの働きはできていない。

次ページ:再び活躍を見せてほしい

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。