群馬県ではなく滋賀県の「草津」で“温泉ないまんじゅう”が話題 「草津温泉と間違えて台湾からいらしたお客様も……」

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草津市の魅力を発信する

 さて、「温泉ないまんじゅう」が誕生したきっかけは、少しでも草津市を多くの人に知ってもらいたいという思いからだ。市は、“温泉ないけどいいとこ草津”をキャッチコピーにPRプロジェクトを昨年から始めている。その一環として生まれた商品だが、自虐的なだけと思いきや、味もよく、評判は上々なのだと言う。

「まんじゅうは草津市にある和菓子屋“和・菓ふぇoto”さんが作っているので、味はお墨付きです。発売してから大きな反響があり、テレビやネットニュースでも取り上げられています。実は、このインタビューの前にも当協会の事務所に“温泉ないまんじゅうありますか”と問い合わせがあったほどです。

 他にも、T.M.Revolutionの西川貴教さん(滋賀県出身)がSNSで紹介してくれたり、橋川渉市長がことあることにあちこちで話題にしたりしている効果もあってか、じわじわと認知度が広がっていると感じます」

 ちなみに、草津市は本当に温泉がないのだろうか。そう谷坂さんに聞くと、意外な答えが返ってきた。

「厳密に言えば……草津温泉のような温泉郷はないのですが、温泉がある施設は2軒あるんです(笑)。1軒はスーパー銭湯、もう1軒はホテルの大浴場です。なお、まんじゅうを作る企画を始める前に、これらの施設には挨拶に伺って入念に説明をして、承諾を得ています」

草津市は子育てがしやすい街で人口も増加中

 ところで、草津市は京都・大阪のベッドタウンとして発展しており、人口もどんどん増えている。また、関西有数の子育てがしやすい街として、常にランキング上位にあるほど人気が高い街である。イナズマロックフェスの会場としても有名だし、琵琶湖に釣りに行きたい人が移住する例もあるという。

 市内には、立命館大学の“びわこ・くさつキャンパス”がある。実際に通っていた筆者の知人に話を聞くと、「南草津駅周辺には、図書館から飲み屋までとにかく“なんでもある”し、京都や大阪にも電車一本でアクセスできる。住んでいて快適な街でした」と話すほど、草津市の人気はすこぶる高いのだ。谷坂さんもこう話す。

「草津市の魅力は、自然と文化が1カ所にギュッと詰まっていることでしょう。琵琶湖に面しているので湖を活かしたアクティビティが楽しめますし、日本でも数少ない淡水魚に特化した水族館、琵琶湖博物館もあります。駅前には現存最大級の本陣である草津宿本陣があります。観光の帰りには、温泉ないまんじゅうを買うのもいいのではないでしょうか」

 大阪・関西万博も開催中である。この機会に、温泉は(2軒しか)ないものの魅力あふれる街、草津市に足を延ばしてみてはいかがだろうか。

取材・文=山内貴範

デイリー新潮編集部

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